戸建て住宅を購入し年数が経ったら出てくるのがリフォーム問題。
単純に住宅が老朽化したことや、住む形が変化したことなど理由はさまざまですが、私たちの多くが気になるのはリフォームの金銭面でしょう。
住宅購入時の相場はだいたいわかっていても、リフォームとなるとさっぱりわからないという人も多いのです。
この記事ではリフォームを検討し始めた人に向けて、戸建て住宅のリフォーム相場とリフォームの進め方について解説していきます。
住宅のリフォームはなぜ必要か
築年数が経過すると建物や設備が劣化・老朽化してくる
買った当初はピカピカきれいだった戸建て住宅も、長年住めばあちこちが傷んできてしまいます。
いくら大きな家であろうと住んで使っていれば、建物が劣化し老朽化してくるのは当然。
となると、必要となってくるのがリフォームです。
住宅もメンテナンスをすれば、より長くより快適に過ごすことができるようになります。
このような築年数の経過による劣化は、どのような住宅に住んでいても避けられないもの。
住宅が老朽化してくる頃には、リフォームを考え始めた方がいいでしょう。
また、風呂・トイレ・キッチンなどの設備が古くなってきて、新しいものへと変えるということもあるでしょう。
「古くなってきたら新しくする」この常識は住宅にも当てはまり、適切なリフォームは私たちが快適に暮らすために必要なものです。
ライフステージの変化による住宅への需要の変化
私たちが人生を過ごす中で起きるのが、ライフステージの変化です。
結婚した頃に家を買ったとしたら、その後で考えられる変化は次のようなものです。
- 夫婦二人暮らしだったところに子供が生まれ、子供が巣立ち、老いていく。
- 子供が生まれれば子供部屋が必要になりますし、巣立てば不要になります。
- 若かったのが老いていけば、階段を上るのが辛くなったりということが考えられるでしょう。
このようにライフステージの変化によって、私たちは住宅に求めるものが変わってくるのです。
家は簡単に形を変えられるものではありませんから、ライフステージに合わせようと思えばリフォームをすることになります。
毎日のことですから、生活に合わない家に住み続けるのはとても辛いこと。
ライフステージの変化による住宅への需要の変化があるためリフォームは必要です。
家を長持ちさせるため
家は終の棲家(すみか)と呼ぶこともあり、多くの人が長い間そこに住むことを想定しています。
働き盛りの頃に家を購入し、老後まで住み続けるとしたら、家には長持ちしてもらわないと困りますよね。
そのために行う必要があるのがリフォームです。
長い間家に住み続ければ、家は劣化していきます。
その劣化をそのままにしておくと、そこからさらに住宅の傷みはひどくなってしまうのです。
住宅を長持ちさせるためには、本格的に住宅が劣化したと感じるよりも前のリフォームが必要です。
工務店などの定期的な点検は欠かさず行い、必要ならばリフォームをしていきましょう。
そうすれば家は長持ちし、安心して住み続けられる場所となります。
戸建て住宅のリフォーム相場
実際にリフォームにかかったお金
「戸建て住宅をリフォームしよう!」と考えたときに1番気になるのは、やはりお金の面でしょう。
戸建ての住宅のリフォーム相場について見ていきましょう。
リフォームといってもいろいろなリフォームがあり、かかるお金もピンからキリです。
具体的なリフォーム内容が決まっていなくても、だいたいの金額は知りたいもの。
実際にリフォームにかかったお金はいくらかと聞いたところ、その回答は幅広いものでした。
リフォーム会社選びのサイト、リフォームガイドが行った調査によると戸建ての全面リフォームにかかった費用は250万円未満~2000万円以上です。
かなり幅広いことがわかりますが、一番多かったのが1000万円前後の費用がかかったという人たちです。
ですが、これはあくまでも全面リフォームに対する費用。
もう少しリフォーム内容を細かく見ていけば、もう少しリフォーム費用の相場が見えてくるでしょう。
続いては、リフォーム内容五との相場についてご紹介していきます。
リフォーム内容とその相場
リフォームと一口に言っても、その内容はさまざまなです。
そして費用もリフォーム内容によって変わってきます。
主なリフォームとその相場を表にしてみました。
リフォーム内容 | 相場 |
壁紙・クロス張替 | 5~10万円 |
床張替 | 10万円 |
トイレ | 15~30万円 |
洗面台 | 10~15万円 |
キッチン | 50~100万円 |
お風呂 | 60~120万円 |
エコキュート | 50万円 |
屋根・外壁塗装 | 100万円 |
玄関ドア | 30万円 |
どのリフォームも家の大きさやグレードによって料金は変わってきます。
相場の金額はこのくらいあれば、その場所の設備を入れ替える程度のリフォームはできるということです。
キッチンやお風呂は費用の幅が大きいですが、設備を新しくするだけなら低い価格帯、空間を広げるような大規模なものだと高価格になります。
大規模なリフォームとは、背面キッチンをアイランドキッチンにするようなリフォームのことです。
間取りがそのままで設備だけを替えるものはそれほど料金がかかりませんが、間取りの変更まで行うとなると高額になってきます。
リフォームをしようと考えるのなら、自分が行いたいリフォーム内容を決めれば、自ずとかかる金額についても見えてくるでしょう。
リフォームの実例と費用
続いてはリフォームの実例とその費用について見ていきましょう。
みんなは実際にどのようなリフォームを行い、どの程度に費用がかかったのでしょうか。
キッチン・浴室・洗面所の場所を含む変更・・・175万円
こちらのリフォームは設備の入れ替えだけではなく、場所や間取りの変更も行いました。
洋室を1つなくし広めのLDKにし、キッチンの位置を替え新たなシステムキッチンにしています。
そして、その近くに浴室と洗面所を新設し動線を考えた作りへと変更しています。
壁紙の張替と収納の拡張・・・55万円
リビングの壁紙を張り替えて、収納棚を新たに作るなど生活しやすい空間へと変身させました。
キッチン・洗面台・トイレのリフォーム・・・350万円
キッチンを対面式へと変更、リビングと一続きになるようにし広い空間に変更。
壁にはエコカラットを施行し、リビングをラグジュアリーな空間になるようにしました。
さらに洗面台やトイレも変更し、過ごしやすくおしゃれな空間へとリフォームした実例。
リビングを広く、キッチンを対面式にし寝室・書斎を作成・・・450万円
リビングと隣の部屋の間仕切り壁をなくして、広い1つの空間へと変更。リビング裏には収納力抜群のウォークインクローゼットと寝室と書斎スペースを設け、キッチンも壁面から対面へとリフォームしています。
間取りそのまま、お風呂とトイレの設備入れ替え・・・125万円
間取りは以前のままで、お風呂とトイレを新しいものに変更し長く使えるようにしました。
リフォームの費用を抑えるコツ
リフォームの相場はわかったけれど、その中でも費用を抑えたいと思うのは当然の気持ちです。
しかし、家という大事な場所にかかわるお金なだけに、あまり値切ってしまうのも不安になってしまうもの。
そこで、リフォームの費用を抑えるためのコツについてご紹介していきます。
まずリフォームをしようと思うのなら、複数のリフォーム会社から相見積もりを取ってください。
3社程度から見積もりを取るのがいいとされています。
高過ぎるリフォーム会社を避けるのはもちろん、安過ぎるリフォーム会社は明細までよく見てください。
見積もりの段階では安い金額を出しておいて、後から追加料金を取るような会社もあります。
次に見積もりを元にリフォーム会社と交渉していきましょう。
素直に相見積もりを取っていることを告げるのもおすすめです。
他社にお客を取られたくないので多少の値下げが期待できます。
その際、リフォーム費用の内訳を見せてもらうことも忘れないでください。
例え費用が高くても、内訳を見て説明を聞き納得できるものならば問題ないでしょう。
逆に値下げをしてもらったとしても材質や職人の質を下げるようならば注意が必要です。
費用を抑えつつリフォームしたくても、その結果、粗悪なものが完成したのでは意味がありません。
自信のあるリフォーム会社は、リフォームの内容で勝負できると考えているためそれほど値下げ交渉には応じないこともあります。
とにかく大切なのは、納得できないことはとことん話し合うこと。
きちんと説明してくれる業者であれば、安心してリフォームを任せることができるでしょう。
リフォーム以外にかかる費用も忘れずに
リフォームをするときに気になるのはリフォーム費用ですが、それ以外にかかる費用を忘れているとびっくりすることになります。
リフォームをするときには工事費以外の部分にも目を向けておきましょう。
工事費以外にかかるのは現場管理費や一般管理費などの諸経費です。
これらは見積もりに記載があるため、頭から抜け落ちるということはないでしょう。
他に契約・ローン手数料、税金などがかかります。
これらは既に持っている戸建てをリフォームするのか、中古住宅を購入しリフォームをするのか、ローンは組むのかなど状況によってかかる費用が変わってきます。
リフォームの種類 | 費用 |
所有する住宅のリフォーム | 契約書の印紙代 |
増築 | 登記費用 |
中古住宅を購入しリフォーム | 契約書の印紙代 仲介手数料 固定資産税・管理費の清算金 登記費用および登録免許税 不動産取得税 固定資産税ローン利用ありの場合 ローン保証料(手数料) 生命保険料および火災保険料 |
さらには、工事や契約でリフォーム会社に支払う以外の出費も予定しておかなければなりません。
リフォーム内容によっては、自宅に住み続けながらの工事が難しくなります。
その場合は仮住まいを用意しなくてはならなくなり、その仮住まいと自宅の引越し費用も往復でかかります。
仮住まいに家具が入りきらなければトランクルームを借りる必要も出てくるでしょう。
そして、リフォームをしたことで考えられるのが、家具の買い替えです。
間取りが変わればそれに合った家具を用意したくなりますし、きれいになった家に古い家具が合わないと感じることもあるでしょう。
こうした費用もあらかじめ頭に入れておくと、後々困るということがなくなります。
おすすめのリフォームの進め方
STEP1 我が家にはどんなリフォームが必要?
では、いよいよリフォームを進めていきましょう!
まずは焦らずどんなリフォームが必要かをじっくり考えましょう。
実はリフォームを進めていく中でこのSTEP1が一番大切です。
どんなリフォームをするかが固まっていないといいリフォームはできないのです。
自分の住まいに必要なリフォームはどんなものでしょうか?
まずはこの疑問を解消していきましょう。
大事なのは「必要なリフォーム>したいリフォーム」であるということです。
必要とされるリフォームをないがしろにして、したいリフォームを優先させてはいけません。
例えおしゃれな家にしたいとしても、おしゃれなだけで使い勝手が悪くては意味がないということです。
必要なリフォームについて考えられた上で、したいリフォームを盛り込めばそのような失敗はなくなるでしょう。
「我が家にはどんなリフォームが必要なんだろう…?」このことについて家に住むみんなで話し合ってみてください。
STEP2 リフォームは情報戦!情報を集めよう
どんなリフォームをするのかが決まったら続いては情報を集めましょう。
今ではSNSを利用して簡単に役立つリフォーム情報が集められます。
自分の知識だけでは思いつかなかったようなリフォームプランが見つかるかもしれませんし、リフォームの流れについても詳しくなれるでしょう。
ぜひ、たくさんのリフォーム実例の生の声を聞いてみてください。
STEP3 出せるお金はいくら?リフォームにかける費用を決めよう
だいたいリフォームのイメージがはっきりしてきたら、リフォームにかける費用について決定していきましょう。
予算はどのくらいで、最高いくらまでなら出せるのかをはっきりさせることが大切です。
予算をあいまいに決めていると、どんどん費用がかさむのを許容してしまい、結局苦しい思いをすることになってしまいます。
自分たちはどのくらいまでならリフォームにお金をかけられるのかを知っておくことで、リフォームを進めていくことができるでしょう。
そして、その予算はリフォーム全体に対する費用なので、工事費だけで使い切ってしまわないように注意が必要です。
ここから先、見積もりを取ったり、値段交渉をしたりが始まるわけですが、余裕を持った費用設定にしておきましょう。
STEP4 リフォーム業者を探そう
リフォーム内容、リフォーム費用について固まったら、リフォーム会社を探しましょう。
もしもう決めているという場合でも1社だけではなく、他の会社にも話を聞きにいくことをおすすめします。
それは他社との比較によって見えてくることがあるからです。
リフォームという大きな買い物をするのだから、比較検討はとても大事になってきます。
リフォーム業者について1つも候補がないという場合は、リフォーム会社を紹介してくれるサイトが多数あるので、そうしたサイトを利用してみてください。
ネームバリューだけで選ぶのではなく、実際に1つ1つの会社の対応を見て決めれば、今後のリフォームがスムーズに進められるはずです。
STEP5 プラン決定&着工
リフォーム業者を決定したら、プランを決定しいよいよ着工です。
プランを決定するまでには、気になる疑問点は聞いて解決しておくようにしてください。
よくわからないまま進めてしまうと、「こんなはずじゃなかった…」と後悔することになってしまいます。
必ず納得してから着工するようにしてください。
予算との兼ね合いもありますから、全部思い通りにできるわけではありませんが、自分が納得したリフォームであれば快適に過ごすことができるはずです。
リフォームの補助金
補助金が出るリフォームの種類
リフォームを行うならチェックしてほしいのが、補助金や減税の制度です。
リフォームはお金のかかるものですから、使える制度は賢く使ってお得にリフォームをしていきましょう。
補助金が出るリフォームの種類は次の3つです。
- バリアフリー・介護
- 省エネ・エコ・断熱(窓リフォーム・断熱リフォーム等)
- 耐震診断・耐震改修
バリアフリー・介護への補助金は介護保険制度を利用したものです。
介護に必要なリフォームが対象で、トイレを和式から洋式に、段差をなくしてバリアフリー化する、階段に手すりをつけるなどのリフォームができます。
省エネ・エコ・断熱の補助金は「高性能建材による住宅の断熱リフォーム支援事業(断熱リノベ)」や「次世代省エネ建材支援事業(次世代建材)」とった制度を使ったものです。
エコキュートへの交換、断熱性の高い窓へのリフォーム・ドアなど開口部の断熱化、壁・床・天井の断熱リフォームなどが対象となります。
耐震診断・耐震改修は古くなった自宅の耐震診断を行ったり、補強工事に対する費用の補助を受けられたりします。
各自治体が積極的に取り組んでいる制度です。
国のリフォーム補助金制度
国が行っているリフォームに使える助成金を一覧にしてみましょう。
制度の名称 | 申請期間 |
グリーン住宅ポイント制度 | 2021年4月~10月31日 |
既存住宅における断熱リフォーム支援事業(旧・断熱リノベ) | 2021年8月10日~2021年9月24日 |
次世代省エネ建材の実証支援事業 | 2021年5月10日~7月16日、8月2日~10月29日 |
ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)支援事業 | ①ZEH②ZEH+は2021年8月30日~9月24日 ③次世代ZEH+は5月17日~8月20日,8月27日~11月19日 ④先進的再エネ熱等導入支援事業 5月6日~11月19日 |
長期優良住宅化リフォーム推進事業 | 2021年5月10日~12月24日 |
地域型住宅グリーン化事業 | 補助金割当 ~2021年(令和3年)10月末 |
家庭用燃料電池システム導入支援事業補助金 | 2021年度は終了 |
たくさんの制度があり今年度の募集は終了してしまっていても、翌年度に再開されるものもあります。
使える制度は賢く使って、リフォームをしていきましょう。
リフォーム補助金の注意点
リフォームを考える私たちにとって嬉しいリフォーム補助金ですが、いつでもどこでも受けられるというものではありません。
リフォーム補助金を受けたいのであれば、注意すべき点は2つです。
まず1つはリフォーム着工前に申請しなければならないという点です。
リフォーム完了後では、いくら対象の工事を行っていても補助金は受けられません。
補助金に関する手続きは必ず事前に行い、工事の期間や期限を守って行いましょう。
2つ目はリフォーム補助金の予算には上限額があるということです。
補助金は制限なく誰でも受けられるというわけではなく、先着順で上限額に達した時点で補助は終了となります。
補助金を使いたいのであれば、リフォーム会社とも相談をしてタイミングを見払って行う必要があるでしょう。
まとめ
戸建て住宅を購入したのなら、いずれは避けられないのがリフォームでしょう。
ですが、リフォームについて知識がないとリフォームは進められません。
リフォームの相場は行う内容によって変わってきます。
まずは自分のしたいリフォームについてはっきりさせるところから始めていきましょう。
- 複数の会社から見積もりを取り、比較・交渉することで費用が抑えられます。
- また見積もりでよくわからないところがあるときには質問してみましょう。
- 疑問を解消し納得してからリフォームを行えば、快適な住まいが手に入ります。
リフォームは情報戦!
たくさんの情報を手に入れて、住まいをより快適で長持ちするものにしていきましょう。