人生100年時代と言われている現代。
長生き出来る事は嬉しいのですが、そこで考えなければならないのが「お金事情」です。
老後のお金と言えば「年金」ですよね。
ところで、毎月支払っている年金保険料ですが、支払い続けていて年金はどのくらいもらえるのでしょう?気になりますよね。
実は年金制度は簡単ではなくて、職業や年収などによって受け取り額も随分と変わってきます。
そこで、今回の記事では次の事をお伝えします。
- 日本の年金制度「国民年金」「厚生年金」について知ろう!
- 年金受給額はいくら?
- 夫婦の【職業別】年金額をシミュレーション!
- ねんきん定期便を利用しよう
最後まで読んでいただければ、年金の仕組みについてと、実際にいくらもらえるのか分かるでしょう。
是非、最後までご覧ください。
日本の年金制度は3階建て!
日本の年金制度は「3階建て」と耳にした事はありませんか?
この「3階建て」とは、一体どのような事なのかと言いますと、年金制度の保障のしくみが
3階建てになっているのです。
これは、例えば平屋の人もいれば、3階建ての家の人もいるように、年金も人それぞれ違っているのです。
簡単に年金制度のしくみを説明しますと、次の図のようになっています。
3階 | 私的年金 (任意加入) |
|
2階 | 厚生年金 | 第2号被保険者 |
1階 | 国民年金 (強制加入) |
第1号被保険者 |
階数が増えるごとに年金の保障は手厚くなっていきます。
ではひとつずつの年金制度について説明します。
1階「国民年金」とは
国民年金は、20歳~60歳の全ての人が加入する必要のある年金です。
1階の土台の部分ですから「基礎年金」と呼ばれています。
年金を受け取る時の名称は「老齢基礎年金」と呼ばれます。
対象者は、自営業・フリーランス・農業・漁業・20歳以上の学生・専業主夫・無職などの人です。
開業医や弁護士などの個人事業主の人も1階部分になります。
国民年金の被保険者は「第1号被保険者」になります。
2階「厚生年金」とは
厚生年金とは、会社勤めの人が加入する年金です。
2階部分になっている理由は、1階部分の保険料は厚生年金保険料の中に含まれて支払っている事になりますので、会社勤めの人は、国民年金+厚生年金の分をもらう事が出来るからです。
対象者は、会社員や公務員です。
※公務員は、以前、「共済年金」でしたが、2015年より「厚生年金」に統一されました。
厚生年金の被保険者は「第2号被保険者」になります。
そして、第2号被保険者に扶養される主婦(主夫)は第3号被保険者になります。
3階「私的年金」とは
3階部分は、より手厚い年金をもらいたい人が任意で加入できる年金制度です。
会社に制度があれば任意加入出来る「厚生年金基金」や、iDeco(個人型確定拠出年金)や企業型確定拠出年金など、税制優遇措置のある制度があります。
国の年金制度だけでは心配な人は、私的年金制度も利用すると良いでしょう。
年金受給額はいくら?
公的年金の種類には「国民年金」と「厚生年金」の2種類がありますが、それぞれの年金受給額はいくらになるのでしょうか。
年金は65歳からもらう事が出来ます。
2013年以前は、国民年金65歳、厚生年金60歳からもらえたのですが、厚生年金の受給開始年齢が引き上げられました。
男性1961年、女性1966年4月2日以降に生まれた人は全員65歳からの受給になります。
つまり、現在の若い世代の方々は全員65歳からという事になります。
そこで、実際に年金の受給額を「国民年金」「厚生年金」について説明していきます。
国民年金・厚生年金の平均額は?
国民年金と厚生年金は、どのくらいもらえているのか、平均額をお伝えします。
国民年金受給者の平均年金月額は約5万6千円です。
国民年金を計算してみよう!
それでは実際に国民年金を計算してみましょう。
国民年金の計算は難しくありません。
国民年金の満額は令和2年4月から「月額65,141円」になっています。
年額は65,141円×12か月=781,692円。
国民年金額(年額)は、以下の計算式で計算出来ます。
781,692円×保険料納付月数÷480か月 |
※480か月とは、満額支払った時の月数です。
40年×12か月=480か月
例えば、保険料納付月数が400か月だった場合の国民年金年額の計算は以下のようになります。
781,692円×400か月÷480か月=651,410円
国民年金年額は651,410円で、月額ですと54,284円です。
厚生年金は年収によって異なる
厚生年金の場合は、計算が複雑になります。
保険料の納付月数と年収で金額が変わってきます。
また、加入時期よっても違ってきますので計算が複雑で、国民年金のように簡単な計算では出来ないのが実情です。
北村式「簡単一発計算式」で計算してみよう!
上記でお伝えしたとおり、厚生年金は年収によって異なりますからいくらになるのかなかなか把握しづらいですよね。
しかし、北村式「簡単一発計算式」で、簡単におおよその年金額を計算する方法があります。
この計算式は、フジテレビの年金特番で紹介された簡易的に計算できる方法で、全国で100万人の人が計算しています。
簡易的な計算方法ですが、参考にしてみてくださいね!
計算式は次の通りで、年金受取額は①と②を足した金額になります。
①老齢基礎年金 | 20,000円×年金保険料を掛けた年数(最大40年) |
②老齢厚生年金 | 5,500円×勤続年数×平均年収の百万円の位(※) |
※平均年収が分からない人は、38歳時点のボーナスを含む金額で計算してください。
実際に計算してみましょう。
例)1980年生まれ 20歳から22歳までの2年間の学生時代は国民年金をキチンと支払い、22歳から60歳まで38年間、会社員だった場合。
平均年収は450万円と仮定します。
①老齢基礎年金 20,000円×40年=80万円
(国民年金を満額40年支払っているため40年を掛けます。)
②老齢厚生年金 5,500円×38年×4=836,000円
(平均年収の百万円の位は「4」ですので、最後に4を掛けます。)
①+②=80万円+83.6万円=163.6万円
年金額が163.6万円、月額ですと13.6万円になります。
夫婦の【職業別】年金額をシミュレーション!
上記で説明しました北村式「簡単一発計算式」を使って、老齢基礎年金と老齢厚生年金がいくらになるか、年収別に計算して一覧表にしました。おおよその金額になりますので、目安にしていただければと思います。
年収 | 老齢基礎年金 | 老齢厚生年金 | 合計 |
300万円 | 80万円 | 62.7万円 | 142.7万円 |
400万円 | 80万円 | 83.6万円 | 163.6万円 |
500万円 | 80万円 | 104.5万円 | 184.5万円 |
600万円 | 80万円 | 132万円 | 212万円 |
700万円 | 80万円 | 146.3万円 | 226.3万円 |
※厚生年金を22歳~60歳までの38年間支払い、国民年金を20歳~22歳の2年間も納付した場合の一覧表
※自営業や専業主婦の場合、「老齢基礎年金」の金額を参照の事。
上記表を参考にして、夫婦の次の3パターンで、いくらの年金がもらえるのかシミュレーションしてみました。
①夫が会社員、妻も会社員の場合
夫平均年収 500万円 | 年金額 184.5万円 |
妻平均年収 300万円 | 年金額 142.7万円 |
夫婦合計 | 年金額327.2万円(月換算27.2万円) |
夫と妻が共に会社員の場合は、二人共厚生年金となり、月額換算で27.2万円になります。
②夫が会社員、妻が専業主婦の場合
夫平均年収 500万円 | 年金額 184.5万円 |
妻平均年収 0円 | 年金額 80万円 |
夫婦合計 | 年金額264.5万円(月換算22.0万円) |
夫のみが会社員の場合は、夫が厚生年金、妻が国民年金となり、月額換算で22.0万円になります。
③夫妻で自営業の場合
夫(年収関係なし) | 年金額 80万円 |
妻(年収関係なし) | 年金額 80万円 |
夫婦合計 | 年金額160万円(月換算13.3万円) |
夫婦で自営業の場合は、年収は関係なく、一律の年金額になります。月換算月額は13.3万円です。
このように、職業や年収によって、同じ年齢の夫婦でも、年金受取額には非常に差があるのが分かりますね。
生命保険文化センターの令和元年度「生活保障に関する調査」によると、「老後の最低日常生活費はいくら必要か?」という質問で、平均「22.1万円」という結果がでています。
また、「ゆとりある老後生活」を送るにはの質問では平均で「36.1万円」という結果になっていました。
上記の例で行きますと、①の夫婦が会社員の場合は27.2万円の年金がありますので、平均よりも多く、年金のみでもある程度ゆとりのある暮らしが出来そうです。
②の夫のみ会社員の場合は、22万円の年金ですので、最低日常生活費をクリアしています。
③の自営業の夫婦の場合は13.3万円ですので、残念ながら最低日常生活費を満たしていません。
このように、年金のみでは足りない場合は、別の手段で年金を準備する必要が出てきます。
公的年金のみで足りない時は
夫婦共に会社員として定年まで働いた場合は、二人の年金のみでも生活費プラス余裕資金もある程度確保される事が分かったのですが、夫のみが会社員の場合や、夫婦で自営業をされている場合は、年金のみでは最低生活費のみか、最低生活費にも足りない金額しかもらえません。
これでは安心した老後生活は送れませんね。
そこで、老後になってから慌てないために、「私的年金」を事前に準備する事をオススメします。
一例ですが、次のような制度や商品に加入すると良いでしょう。
- 年金の上乗せにになる「国民年金基金」や「厚生年金基金」に加入をする
- 生命保険の「個人年金保険」に加入する
- 「iDeco(個人型確定拠出年金)」や「つみたてNISA(少額投資非課税制度)」など、税制上、優遇されている投資信託商品を利用していく
このような私的年金と呼ばれている商品は、自分で判断して選んで行く事が大切です。
「ねんきん定期便」を利用しよう
年金受取り額のおおよその金額は把握出来たかと思いますが、個人個人の掛けてきた年金保険料は違います。
もっと個人に寄り添った詳しい年金額を知りたい場合は、「ねんきん定期便」を利用しましょう。
ねんきん定期便とは
日本年金機構からご自宅に郵便で毎年誕生月に、アナタの年金記録が届いていると思いますが、それが「ねんきん定期便」です。
ねんきん定期便を見て、年金制度の理解を深めていただく事が目的となっています。
ねんきん定期便は、50歳未満の人と、年金受取りが近づいて来る50歳以上の人では内容が異なっています。
また、35歳、45歳、59歳の節目の歳には詳しい内容の定期便が届くようになっています。
ねんきん定期便の内容は年齢によって異なる
では、ねんきん定期便の内容を紹介します。
年齢 | 送付方法 | 内容 | |
50歳未満 | 誕生月にはがきで郵送 | 直近1年間の情報 これまでの加入実績に応じた年金額 |
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50歳以上 | 誕生月にはがきで郵送 | 直近1年間の情報 年金見込額 |
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節目の年 | 35歳・45歳 | 誕生月に封書で郵送 | 全期間の年金記録情報 これまでの加入実績に応じた年金額 |
59歳 | 誕生月に封書で郵送 | 全期間の年金記録情報 年金見込額 |
上記表を見ますと、ねんきん定期便は毎年1回、誕生月に届きます。
そして、50歳未満では「これまでの加入実績に応じた年金額」がおおよそ分かりますが、
50歳以上になると、「年金見込額」が分かるようになります。
やはり、年金をもらう時期が近くなるので、詳しい内容になっています。
そして、特別な節目の年「35歳・45歳・59歳」の時には、全期間の年金記録情報が封書で届くようになっています。
今まで何気に受け取っていたかもしれませんが、これを機会にじっくりと見てみてくださいね。
「ねんきんネット」サービスについて
ねんきん定期便は年に1回、お誕生月に届くという事が分かっていただけたので、見逃す事も少なくなるかもしれませんが、実は、ネットでのサービスもあるのです。
それは、ネットを使った「ねんきんネット」という便利なサービスです。
なお、ねんきんネットには電子版の「ねんきん定期便」もあります。
ペーパーレス化にもつながりますので、こちらも参考にしてください。
これなら、うっかり見逃してしまったねんきん定期便をいつでも見る事が出来ますので便利ですね!
まとめ
ここまで、年金受給額はいくらもらえるのかについてお伝えしてきましたがいかがでしたか?
今回の記事では次の事をお伝えしました。
- 日本の年金制度は3階建てで「国民年金」「厚生年金」「私的年金」となっている
- 国民年金の年金受給額は年収に関係なく、保険料納付月数で決まっている。
厚生年金は年収によって金額が異なる - 夫婦の年金受取額は、夫婦の職業によって「国民年金」「厚生年金」となり、かなり違いが出る
- 公的年金で不足する場合は、早いうちから私的年金の加入をすると良い。
個人の詳しい年金額を知るには「ねんきん定期便」が便利
自分自身の年金額を予め知る事によって、足りない分について事前に準備する事も出来ます。
アナタも自身の年金について計算して、老後の資金計画を立ててはいかがでしょうか。
早いに越したことはありません!これを機会に今からでも考えてみて下さいね。