「資産運用をしたい!」
この気持ちは、現代を生きる私たちの誰もが持っているものではないでしょうか。
金融庁が夫婦の老後に2000万円が必要だと試算したのは、2019年6月のことでした。老後に2000万円を貯めておくためには、給与をそのまま置いておくだけでなく資産運用をしていく必要があるでしょう。
しかし、資産運用について少しでも調べたことのある人ならわかる通り、資産運用にはたくさんの種類があります。
こんな悲鳴をあげたくなった人も多いのではないでしょうか。ですが、種類の豊富さに圧倒されて諦めてしまったのでは、私たちの資産は増えることはありません。
この記事では、たくさんの中から私たちに合った資産運用を見つけられるように、資産運用の種類別のメリットデメリットを比較していきます。これを参考に私たち一人一人にあった資産運用の種類を見つけ出していきましょう。
資産運用の儲けが出る仕組み
インカムゲイン
資産運用で利益が出る仕組みには2つのものがあります。資産運用もこの仕組みで分類することができますので、まずは資産運用の仕組みについて知っておきましょう。
最初にご紹介するのは、インカムゲインです。インカムゲインとは資産を持っているだけで生まれる利益のことです。具体的に言うと利子や配当や賃料収入などを指します。資産を手放さない限りは、継続して得ることができます。
キャピタルゲイン
キャピタルゲインは資産の値上がりによって得られる利益のことです。保有している株や不動産が値上がりしたときに売却することで、キャピタルゲインは得られます。持っているだけで勝手に利益の出るインカムゲインとは違い、キャピタルゲインが得られるのは資産を売却したときだけです。
資産運用を比較する際のポイント
「低リスク?高リスク?」どの程度のリスクを許容できるか
資産運用にはたくさんの種類がありますから、私たちはどうやって比較したらいいのか迷ってしまいます。そんなときに重視してほしいポイントは3つです。まず1つめのポイントは、資産運用に対するリスクをどれだけ許容できるかということです。
資産運用にはリスクがつきものとなります。リスクと聞くと私たちは危険性の面ばかりに目がいきがちですが、リスクとは危険性のことではなくブレ幅のことです。下にブレることもあれば上にブレることもあります。この幅の大きさをリスクと呼ぶのです。「大きく儲けることもあるけれど、大きく損をすることもある」この幅をどれだけ許容できるのかをはっきりさせておきましょう。
また、運用期間や途中解約の可否もリスクの一種となります。資産運用は余剰資産でやるのが基本ですが、もし「現金化したい」となったときに対応可能かはチェックしておかなければなりません。運用期間が任意なのか一定期間なのか、途中解約はできるのかできないのかは必ず比較するようにしましょう。
「資産を増やしたい!」リターンの大きさで比較する
資産運用を比較する2つ目のポイントは、リターンの大きさです。私たちは皆、自分の資産を増やしたい気持ちで資産運用を始めます。一番大きな動機である資産を増やせる投資方法を選ばなければ、私たちは資産運用に満足することはできないでしょう。
「少しでも増えればいい」のか「がっつり増やしたい」のかによって選ぶ資産運用の種類は違います。
資産運用を選ぶ際には、その運用方法によってどの程度のリターンが期待できるのかでの比較を忘れてはいけません。ただし、リターンが大きい資産運用は、その分損失が出たときの損益も大きくなることは頭に入れておいてくださいね。
「求めるものは何?」自分の状況に合わせて選ぶ
他人にとってベストな資産運用が、私たちにとってもベストな資産運用だとは限りません。資産運用を比較検討するに当たって最も大事なポイントは、自分の状況に合った資産運用を選ぶということです。
「60歳までに老後資金として2000万円を貯めたい」という人と「車検に向けて2年後までに20万円を貯めたい」という人が同じ資産運用を選んでいてはいけません。自分の求める目標に合わせた資産運用を選ぶようにしましょう。そうすれば私たちの資産運用は成功へと一歩近づきます。
資産運用の種類を知る前に、自分の求めるものを明確にしておきましょう。あなたが資産を運用することで得たいのは何のためのお金ですか?それはいつまでにほしいものですか?自分の状況をしっかりと確認し、資産運用選びを始めていきましょう。
主な資産運用の種類と特徴
運用期間 | 途中解約 | リターン | 利益の種類 | |
預金 | 任意期間 | 自由 | 低 | インカムゲイン |
外貨預金 | 任意期間 | 自由 | 中 | インカムゲイン・
キャピタルゲイン |
投資信託 | 一定期間 | 可能 | 低 | インカムゲイン・
キャピタルゲイン |
外貨MMF | 任意期間 | 可能 | 中 | インカムゲイン・
キャピタルゲイン |
ETF | 任意期間 | 可能 | 低 | インカムゲイン・
キャピタルゲイン |
債券投資 | 一定期間 | 可能 | 低 | インカムゲイン |
iDeCo | 60歳までの任意期間 | 60歳までは解約不可 | 低 | インカムゲイン |
つみたてNISA | 任意期間 | 可能 | 低 | インカムゲイン・
キャピタルゲイン |
株式投資 | 任意期間 | 可能 | 高 | インカムゲイン・
キャピタルゲイン |
不動産投資 | 任意期間 | すぐ売却できず時間がかかる | 中 | インカムゲイン・
キャピタルゲイン |
J-REIT | 任意期間 | 可能 | 中 | インカムゲイン・
キャピタルゲイン |
FX | 任意期間 | 可能 | 高 | キャピタルゲイン |
先物取引 | 一定期間 | 不可能 | 高 | キャピタルゲイン |
仮想通貨 | 任意機関 | 可能 | 高 | キャピタルゲイン |
ソーシャルレンディング | 一定期間 | 不可能 | 中 | インカムゲイン |
(1)預金
実は預金も資産運用の一種です。お金はタンスに入れておくだけでは増えることはありませんが、銀行に預けておけばわずかですが利子がつきます。これは立派なインカムゲインです。ですが、ご存知の通り現在の金利は低く、みずほ銀行の普通預金金利は0.001%、定期預金でも0.002%です。
この金利がどれだけ低いものかは、具体的に数字を入れてみることでわかるでしょう。例えば定期預金に100万円預けていたとしても、1年でつく利息は20円にしかなりません。預金は最も安全な資産運用であり、※1ペイオフ制度によって1000万円までは保証されています。しかし、いくら安全でも預金だけでは資産運用としては物足りなく感じる人がほとんどでしょう。すぐに引き出せる預金をある程度は残しつつ、他の資産運用を併用するのが一般的です。
※1 ペイオフ制度:預金保険法という法律で定められた1金融機関ごとに、1人1000万円と利息までが保護される制度。金融機関が破綻しても国が保証してくれるため安心。
(2)外貨預金
外貨預金は日本国内が低金利の今、注目されている資産運用法の1つです。日本円ではなく外国の通貨で預金することを外貨預金といい、外国の高い金利が魅力的です。例えば日本の金利はキャンペーンで高くなっていても0.2%程度で、1%を超えることはありません。
しかし、南アフリカランドの6か月定期は利回り7%と非常に高くなっています。他の国を見てみても1%を越えている国が多く、日本でただ預金をしているよりは外貨で預金をした方がお金は増えていくでしょう。
ですが、外貨預金には注意しなければならない点があります。それは為替レートによる資産価値の変動が起きるということです。外貨預金を開始したときに1ドル100円だったのに、円高になり90円になってしまうと、高い利息で得た利益よりも為替レートによる損失の方が大きくなってしまうでしょう。
例えば1ドル100円の時に、100万円を年利1%で外貨預金したとします。1万ドルが預金でき、1年後利息がつき1万100ドルとなります。このとき1ドル100円のままなら単純に100ドル=1万円が利益となり資産は101万に増えます。しかし、1ドル90円になっていた場合には1万100ドルは、円換算で90万9千円となってしまい9万1千円の損失が出てしまうのです。
(3)投資信託
投資信託は投資のプロにお金を信じて託す資産運用法です。ご存知の通り、資産運用は損をすることもあります。私たちずぶの素人が投資を行うよりも、知識を持ったプロが投資を行う方が確実なのは目に見えています。投資信託はその希望を叶えてくれる金融商品なのです。
投資信託を購入すれば、あとはプロが運用してくれて、私たちは利益を受け取ることができます。しかし、必ずしも利益を受け取ることができるとは限らず、損をしてしまうこともあります。また、プロに運用をお願いする分、手数料が発生するのは避けられません。利益が出た場合でも、損をした場合でも手数料はかかってしまいます。
投資を行う前には銘柄の紹介とともに購入理由や相場の情報を話してくれますので、投資の初心者で金融知識も同時に付けていきたいという方には良い方法かもしれません。
(4)外貨MMF
外貨MMFとは外貨建ての投資信託で、証券会社を通じて購入することができます。信用のできる外国の国債や社債を中心に運用をしており、外貨ベースでの元本に対する安全性は高いものとなっています。元本に対する保証はありませんが、外貨預金と同程度の安全性だと言えるでしょう。
さらに、外貨預金よりも高い利回りであることが多く、運用の成果によって分配金を受け取ることができます。分配金は元本に加えられ、複利効果も期待できます。外貨MMFには満期というものがなく、買い付けた翌日から解約することができます。外貨MMFも外貨預金と同じく為替レートの影響を受けますが、いつでも解約できるので柔軟な対応が可能です。
(5)ETF(上場投資信託)
ETFはExchange Traded Fundsの略で上場投資信託のことです。証券取引所に上場し、株価指数などの指標に連動することを目指した投資信託です。ETFの代表的な商品としてTOPIX(東証株価指数)に連動するものがあります。TOPIXは東証一部の全銘柄を反映した株価指数のことで、このTOPIXに連動したETFを保有するというのは、TOPIX全体に投資を行うのと同じことになるのです。
また、通常の投資信託は価格の決定は1日1回ですが、ETFはリアルタイムで価格が変動し市場が開いている時間ならいつでも売買が可能となります。投資信託と比べて運用コストが低いのもETFの魅力です。しかし、ウイルスの感染拡大やNY株の大暴落、総理大臣の辞任など個別銘柄にとどまらない市場全体に悪影響を及ぼすようなことがあれば、いくら広範囲な分散投資と言えど損失がでることがあります。しかし、そうした暴落時からETFで買い入れることで、価格が戻ると同時に安定的に利益を受け取ることができるでしょう。
(6)債券投資
債券とは、国や企業がお金を集める手段として発行する借用書のようなものです。私たち投資家は債券を購入し、決められた期間その債券を保有しておきます。保有している間は定期的に利息が支払われ、満期を迎えると債券は額面金額で償還されます。
債券投資には国債や地方債、社債などがあり、発行体によって名前が変わってきます。変わるのは名前だけでなく、債券の信用度も変わってきます。国が発行している国債は、よっぽどのことがなければ満期を迎え、利子も支払われ無事に額面金額で償還されるでしょう。
しかし、一企業が発行する社債は倒産する可能性がありリスクが高くなっています。リスクの高い債券を買いたい人などいるわけがありませんから、その分社債は利息を高くして購入者を募集しています。発行体の信用度を見極めて投資すれば、極めて安全な資産運用の方法だと言えるでしょう。単に資産運用をしているだけでなく、発行体の国や企業を応援している意識を持つことができます。
また、外貨預金には高金利の物が多く、低リスクかつ安定的なリターンを求める投資手法の中でも有効な手段の1つとなっています。金利5%に達するものも多く、仮に1000万円の預金をすることで年間で50万円のリターンが狙えます。少々減ってしまいましたが、借入期間が満期に達した時点で金利の変動に関わらず預けた金額を全額返金するという元本保証を行っている債券もあります。逆に元本保証がないからこそ、為替が自分に有利に働くことで金利5%の年間50万円を受け取るだけでなく、預けた元本自体も膨らんで資金を回収することも考えられます。
元本保証という特徴の有無を確認する必要がありますが、リターンが見込める安全資産の1つとして有効な投資でしょう。
(7)iDeCo
iDeCo(イデコ)は2018年からスタートした新しい資産運用の制度で、確定拠出年金の略称です。サラリーマンは月に2万3千円、個人事業主であれば月に6万7千円までをあらかじめ用意された金融商品で運用することができます。節税効果も高く投資額と投資で得た利益が一定額までは、控除対象となります。
職業によって掛けられる金額が違うのは、iDeCoが年金としての役割を持っているからです。
個人事業主は年金の第1号被保険者となり、将来もらえる年金の額がサラリーマンと比べて低くなります。また退職金などもないことから、自分で老後に備える必要があります。だから、個人事業主は掛けられる金額が高く優遇されているのです。
iDeCoは最小で月額5千円から始めることができ、本人口座からの引き落としか給与からの天引きを選ぶことが可能です。一度申し込めば、その後は勝手に掛金が拠出されていくので手間いらずで、面倒くさがりの人でも続けていくことができるでしょう。
確定拠出年金という言葉からもわかる通り、iDeCoは老後に備えるための資産運用です。そのためiDeCoで資産運用したお金は、60歳になるまで引き出すことができません。老後に備えるための資金作りとして利用するようにしてみましょう。
(8)つみたてNISA
つみたてNISAは2018年に始まった新しい資産運用法です。つみたてNISA最大の特徴は利益が非課税になる点です。
通常、投資の利益に対する税金は20.315%もかかりますが、これがなくなるというのは、私たちにとって大きなメリットだと言えるでしょう。
もし、資産運用をして利益が10万円出た場合、通常であれば20315円が税金として減ってしまいます。これがゼロとなるのはいかに大きなことかわかりますよね。
つみたてNISAは投資した年から最大20年間、年40万円まで非課税となります。投資対象商品は、金融庁が定めた基準を満たす投資信託やETFです。いつでも売却が可能で資産を引き出すこともできるのでiDeCoより自由度が高い資産運用です。
つみたてNISAはその名の通り積立投資に使えるNISAとなります。NISAとの違いを表にして見てみましょう。
一般NISA | つみたてNISA | |
投資期間 | 10年間(2014年~2023年) | 20年間(2018年~2037年) |
非課税となる期間 | 5年間 | 20年間 |
投資対象商品 | 上場株式(ETF、REIT含)、投資信託 | 金融庁が定めた基準を満たす投資信託・ETF |
投資方法 | 一括買付、積立 | 定期かつ継続的な積立のみ |
年間投資上限額 | 120万円 | 40万円 |
非課税投累計額 | 600万円 | 800万円 |
一般NISAは一括での投資が可能で投資対象商品も多いため資産運用に慣れている人向け、つみたてNISAは非課税期間が長く、初心者の私たちが守るべき投資の基本である長期・分散・積立が自然とできる投資法なので初心者に向けた資産運用となります。
(9)株式投資
資産運用と聞いて多くの人が思い浮かべるのは、株式投資でしょう。株式投資は日本で最も有名な資産運用だと言っても過言ではありません。ですが、それと同時に難しく大損をするというイメージもあるのではないでしょうか。難しいイメージのある株式投資は、実はとてもシンプルな投資法です。
『株が値下がりしたら買い、値上がりしたら売る』このキャピタルゲインを得ることが株式投資の目的です。システムはシンプルですが株の値動きを読み取ることは難しいため、誰でも簡単に利益を得ることができるとは限らず、株式投資は中級者向けの投資法となっています。
また、株式投資はキャピタルゲインだけでなくインカムゲインを得ることもできる投資法です。私有しているだけで配当金や株主優待を得ることができ、それを目当てに株式投資を行う人も多くいます。私たち初心者が株式投資をする場合もインカムゲインを目的にすれば、日々の相場を気にすることなく利益を得ることができるでしょう。
(10)不動産投資
不動産投資は、歴史のある資産運用方法です。マンションやアパートといった不動産を購入し、人に貸すことで賃料収入というインカムゲインを得られます。さらに、それ以外にも不動産の価値が値上がりしたところで売ればキャピタルゲインも期待できるのです。
昨今はテレワークの推進によって働く場所が自由になりつつあり、地方が見直されています。東京・大阪・愛知・福岡・札幌などの大都市圏だけでなく、そうした大都市圏から離れた土地の価格が値上がりすることも期待できるのではないでしょうか。
期待通りに入居者が決まれば安定的な収入を得ることができますが、誰からも借りてもらえないときには収入は途絶える危険性があります。つまり、もし不動産をローンを組んで購入していたとしたら、不動産から得られる収入はないのにローンだけを支払うようになる可能性もあるということです。
また、不動産は資産としてそれほど価値が下がることはないとされていますが、マンションやアパートなどの場合は老朽化に対し修繕費などの費用がかかることも考えなければなりません。人口減少の進む日本で、安定的な賃料収入を得ることはだんだんと難しくなってきています。人気のあるエリアを選び取ることが、不動産投資成功のカギとなるでしょう。
(11)J-REIT
J-REIT(ジェイリート)は不動産投資の一種です。私たちの多くは「不動産投資をしたい!」と思っても、その資金がないことが多いのではないでしょうか。J-REITは投資家から集めたお金で複数の不動産に投資をし、そこで得た利益を投資家に分配するというしくみです。株式投資でいう投資信託と似ていますよね。
少額からでも不動産投資をすることができ、複数の不動産に投資することになるので自然と分散投資になります。また、実物の不動産を持つと売却しようと思ったときにすぐには売れず、現金化までには時間がかかりますが、J-REITであれば流動性が高く売却は簡単に行うことができます。不動産投資に興味がある人は、まずJ-REITから始めてみてはいかがでしょうか。
(12)FX
FXは外国為替取引の略称で、外国の通貨を売買することや金利差によってキャピタルゲインを得る資産運用です。外貨預金と似ていますが大きな違いはレバレッジと呼ばれるしくみがあることです。
レバレッジは大きく儲けるためのしくみで、自分の持っている資金以上の外貨を売買することができます。
例えば10倍のレバレッジをかければ、資金が10万円であっても100万円分の通貨を売買することができます。
これは1ドル100円だとすると、1万ドルの売買ができるということです。
このとき1ドルが110円になれば利益は10万円、逆に90円になれば10万円の損失が出ることになります。
大きく儲けることもできますが、損失が出たときも大きくなってしまうでしょう。レバレッジは日本国内では25倍まで認められていますが、私たち初心者にとって適切なのは2~3倍でしょう。
その他のFXの特徴としては、24時間取引が可能ということです。取引所が存在しないFXは電話やインターネットを通じて全世界が1つのマーケットを作り上げています。だから、どこかの国で取引をしている限りは、いつでも取引ができるのです。土日と1月1日以外は取引が可能となっており、相場をこまめに見る時間の余裕がある人におすすめの資産運用です。
また、『買う』と『売る』の2つのポジションがあるのも特徴的です。「これからドルが下がりそうだ」と予測するときには、ドルを売ることで予測通りドルが下がれば利益を得ることができます。売りからも取引を始められるので、取引のタイミングを逃しにくいと言えるでしょう。
(13)先物取引
先物取引は読んで字のごとく、先の物に関する取引のことです。あるものに関して売り買いする時期といくらで買うかを約束します。そして、実際にその時期が来たときのそのものの価格によって儲けが決まります。
商品先物取引と金融先物取引があり、農作物や原油など事物があるものを商品先物取引、指数や金利といった実物がないものを金融先物取引と言います。
先物取引を具体例を挙げて考えてみましょう。
例えば、トウモロコシ1トンを2か月後に10万円で購入する先物取引をしたとします。
2か月後にトウモロコシ1トンの相場が8万円になっていれば2万円の損失、12万円になっていれば2万円の利益が出ることになります。
先物取引は売りから入ることもできレバレッジもかけられる点でFXと似ており、ハイリスクハイリターンな投資法であると言えるでしょう。
(14)仮想通貨
仮想通貨は新しい資産運用の方法です。その歴史は浅く2008年に概念が生まれ、取引開始は2010年とされています。仮想通貨とはその名の通り特定の国家が発行した通貨ではなく、実体はありません。ネットワーク上のみに仮想通貨は存在しており、その通貨を取引しながらキャピタルゲインを得るという資産運用になります。
有名な仮想通貨にビットコインがあります。
このビットコインを例に挙げて考えてみましょう。
ビットコインが1枚100万円のときに購入し、125万円のときに売却すれば25万円の利益を得ることができるというわけです。手数料は1%程度です。
仮想通貨は発行体が国ではありません。そのため信用度にはバラツキがあり、価格変動も激しくなっています。ヤフーの仮想通貨事業参入のニュースがあった2018年4月には、およそ73万円だったビットコインが、1日で88万円にまで上昇することもありました。
その後も大手企業が続々と参入を発表し、ビットコインの価格は上昇していきましたが、2020年3月には96万円が45万円になるという歴史的な下落を記録します。この原因はコロナウイルスによる世界経済の混乱。株式市場が低迷したのに連動し、ビットコインの価格も急落してしまったのです。
新しい仮想通貨はどんどん生まれ、最初は価格も低いです。高くなる仮想通貨を見抜くことができれば、莫大な利益を得ることも可能でしょう。情報収集力に長けた人や短期で稼ぎたいという人におすすめの資産運用です。
(15)ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングはインカムゲインの中では、高い利益を期待できる資産運用法です。ソーシャルレンディングはインターネット上のサービスで、お金を投資したい個人とお金が必要な事業者を結びつけてくれるものです。ソーシャルレンディング会社は事業者に対し貸付金利を設定し融資を行います。この金利が私たちの収入となり、利回りは5~6%と高くなっています。
収入額があらかじめ決められており安定的な収入が得られるのが、ソーシャルレンディングのメリットでしょう。運用手数料も発生することはありません。貸付を受けた会社の倒産は心配ですが、そういった事態に備えるために担保が設定されていることがほとんどです。しっかりとした担保があるものに投資するようにすれば、私たちは安心して投資できるでしょう。
ソーシャルレンディングは1度投資すれば、その後は手間いらずです。手間をかけずに資産運用を行いたい人や安定した収入がほしいという人におすすめの資産運用となります。
目的に合わせたおすすめ資産運用
「リスクを抑えたい」安全な資産運用を求める人におすすめの資産運用
資産運用を比較する際に大切なのは、私たちの目的に合わせて資産運用法を選ぶことです。ここでは、これまでご紹介した資産運用の中から目的別におすすめの資産運用を挙げていきます。
まず「資産運用は安全第一!」と考える人におすすめな資産運用は、(1)預金・(3)投資信託・(5)ETF・(6)債券投資です。どれもリスクを抑えながら投資ができるため、資産運用の第一歩としておすすめできるものとなっています。
せっかく資産運用を開始したのに、元本が減っていくのでは意味がありません。資産が減ってしまう危険性を考えドキドキしたくないという人は、まず資産運用の安全性に目を向けて選ぶようにしてみましょう。
「老後の資産を増やしたい」中長期的な資産運用を考える人向けの資産運用
「老後のための資産がほしい」そう考えて資産運用を始める人は多いでしょう。そんな目的を持つ人は、中長期的な資産運用を計画していかなければなりません。老後のために資産運用を考える人におすすめの投資法は、(7)iDeCo・(8)つみたてNISA・(9)株式投資です。
iDeCoは60歳にならないと引き出せないですし、つみたてNISAも長期間運用することを見越した制度です。また株式投資も長期保有しておけば、配当金と株主優待を受けられるため長期で運用していくのに適しています。これらの資産運用を上手に使いながら、長期間かけて老後に備えていきましょう。
「短期で稼ぎたい」時間をかけずに資産を増やしたい人向けの資産運用
資産運用をする人の中には「短期でがっつり稼ぎたい」という人もいるでしょう。そんな人におすすめの資産運用は、(12)FX・(13)先物取引・(14)仮想通貨です。これらの資産運用は大きく稼ぐこともできますが、損失も大きくなることは忘れてはいけません。「必ず成功するだろう」と考えるのではなく、必ず余裕資金でやるようにして損失が出たときのことも考えるようにしておきましょう。
まとめ
資産運用には数多くの種類があります。その数の多さは資産運用を考える私たちを「こんなに種類があったら、どれを選んでいいかわからない!」と困らせてしまうほどです。
しかし、その数の多さに困っていたのでは、いつまでも資産運用を始めることはできません。逆に考えれば、資産運用の数の多さは比較検討することで、自分にベストフィットするものを選べるということでもあります。
資産運用を比較する際のポイントは、リスクをどれだけ許容できるか、どの程度のリターンを希望するかです。
資産運用にはリスクはつきものです。そしてリスクとリターンは相関関係にあります。ハイリスクの資産運用はハイリターンだし、ローリスクのものはローリターンです。ローリスクでハイリターンという夢のような資産運用は存在せず、私たちはどの程度のリスクとリターンを希望するのかはっきりさせなければなりません。
そして一番大切なのは、自分の目的をはっきりさせることです。私たちが資産運用をして得たいものは何なのでしょうか。「老後資金を準備したい」のと「車の購入資金がほしい」人では選ぶ資産運用は変わってきます。
自分の目的を明確にし、それに合わせた資産運用を選ぶことが資産運用成功への第一歩となります。たくさんの資産運用の中から自分にぴったりの資産運用を選んでくださいね。