資産形成

債券投資のリスクってどうなの?メリットは?おすすめの投資手法とは

投資初心者におすすめの投資方法として必ずといっていいほど挙げられる『債券投資』

しかし、普通に暮らしていて債券投資という言葉を耳にすることは、それほど多くはありません。投資といえばすぐに思い浮かぶ株や投資信託ほどメジャーではない債券投資は、いったいどのような投資手法なのでしょうか。

債券投資は誰にでも始めやすい投資手法で、私たちでも簡単に始めることができます。低リスクでメリットもたくさんある債券投資ですが、実際に始めるには詳しく知っておく必要があるでしょう。

この記事では、債券投資のリスクとメリットについて詳しく解説していきます。また、求める目標に合わせておすすめの債券投資もご紹介していくので、参考にしてみてください。

 

債券投資とは?債券の種類を徹底解説

債券投資とは?

 

そもそも債券投資とは何なのでしょうか。債券と聞くと難しく感じられるかもしれませんが、『国債』という言葉であれば聞いたことがある人が多いのではないでしょうか。

国債も債券投資の一種です。債券というのは国や地方自治体、企業などが資金調達のために発行する借用書のようなもので、基本的には元本割れすることのない投資法です。

投資期間はあらかじめ決められており、満期まで保有していれば基本的に元本割れすることはありません。保有している間に定期的に利息が支払われる利付債と、利息がない代わりに額面金額よりも安く発行される割引債の2種類があります。

また、満期まで保有せずに途中で売ることも可能です。債券の価格は日々変動していますので、途中売却の場合は元本割れの可能性もありますが、価格が上昇していれば儲けることもできるでしょう。

そして、どこがその債券を発行しているのかという発行体によって、債券投資にはさまざまなものに分類されます。

続いては、発行体による債券の種類について見ていきましょう。

 

債券の種類(1):国債

 

国債は国が発行する債券で、国という大きな機関が発行しているだけにその安全性が特徴です。利付国債と個人向け国債の2種類があり、その違いは次の通りです。

利付国債:半年に1度利子が受け取れるタイプの国債で固定利子型と変動利子型があります。固定利子型2年・5年・10年・20年・30年・40年の期間があり長期間の商品もあるのが特徴的です。一方、変動利子型には満期が15年の変動利付国債があります。

いつでも売買が可能で最低購入金額が高めであることが特徴です。購入価格は最低5万円から最高3億までで5万円単位となります。長期間の商品もありますが2年と短い期間のものがあり、これは個人向け国債が最短3年からなのに比べ短くなっています。

個人向け国債国が個人向けに発行した国債を指します。個人が買いやすいよう期間は3年・5年の固定金利型、10年の変動金利型と利付国債に比べ短めです。1万円から購入可能で1万円単位で購入額を設定できます。また、0.05%の金利下限を保証しているため、投資のリスクは大幅に抑えられます。

 

債券の種類(2):地方債

 

地方債の地方とは都道府県や市町村のことです。つまり地方債とは、地方公共団体が税収不足を補うために行う借入のことを指します。

地方債には公募地方債と銀行等引受地方債があります。個人が買うことができるのは、公募地方債と呼ばれる都道府県や政令指定都市が発行するものです。

期間は5年と10年の2種類で、利率は5年債がどの地方公共団体でも0.01%、10年債が0.029%~0.08%となっています。国よりも信用の面で劣る地方公共団体は、国債の利率に上乗せすることで広く購入者を募っているのです。単に、資産運用の手段としてだけではなく、私たちの好きな地方を応援している実感も得られる投資手法だと言えるでしょう。

 

債券の種類(3):特別債

 

特別債とは政府関係機関債とも呼ばれ、独立行政法人や日本金融公庫などが特別な法律に基づき発行する債券です。

政府の保証がついた政府保証債や、保証なしで公募形式で発行される財投機関債があります。発行体が政府の密接な関係にあるため、国債に準じたものとして扱われます。債券の中でも特別債の安全性は高いと言えるでしょう。

 

債券の種類(4):社債

 

社債とは企業が発行する債券のことです。企業は株式発行や銀行からの借入で資金を調達しますが、それ以外の資金調達手段として社債があります。

社債は発行体が一企業ですので、その企業が倒産してしまう危険性があります。国債・地方債に比べればリスクは高いといえますが、その分金利は高くなっています。

コロナ禍の中、企業の経営は苦しいものとなり、どんな企業が経営不振になり倒産するかは誰にも分かりません。社債の発行体の企業が倒産してしまった場合には、債務不履行になり返却されるはずだった金額が返ってこなくなってしまいます。社債を購入する場合には、よく検討する必要があるでしょう。

 

債券の種類(5):外国債

 

外国債というのは、発行体や通貨などが外国の債券のことです。日本国内の債券と比べると金利が高く人気がありますが、為替相場の変動による影響を受けるので注意が必要です。

これまでにご紹介した債券は、基本的に満期まで保有しておけば、元本割れする危険性はないものでした。しかし、外国債には元本割れの危険性がつきものです。

外国債は日本円ではなく、現地通貨で購入するものです。だから、外国債の満期を迎えたときに現地通貨から日本円に戻す必要があります。そのときの為替相場によっては、損をしてしまうこともあるのはお分かりですね。ですが、為替相場が有利な方に動いていれば、大きく儲けることもできるでしょう。また、情勢が不安な国であればデフォルトになり1円も返ってこないことも考えられます。

 

債券投資のリスク

価格変動リスク

 

債券投資は満期まで保有しておけば、一部の債権を除き額面金額が償還されるため元本割れのリスクはありません。しかし、保有期間の途中で売却を検討するときには、価格変動リスクがあることを頭に入れておきましょう。

債券を途中で売却するということは、そのときに売却可能な価格で売ることになるということです。場合によっては損失が出る可能性が考えられます。
債券の価格は、一般的に市場金利と反比例します。市場金利が上がれば債券価格は下がり、市場金利が下がれば債券価格は上がります。

 

信用リスク

 

債券は発行元の機関がつぶれてしまえば、最初に提示された利子や償還を受けられなくなるリスクを背負っています。このためどこが発行している債券なのかということは、非常に重要なこととなります。発行機関がどの程度信用できるのかについては、民間の調査会社が発表している格付によって判断することが可能です。

例えば、日本国債は2020年6月にはコロナや相次ぐ自然災害の影響を受け、S&Pグローバル・リーディングの格付け見通しがポジティブから安定的へと引き下げられています。

このように各国の状況を見て、その国の債券の信用リスクがどの程度かを判断することができるのです。格付け見通しには安全度順にポジティブ、安定的、ネガティブ、その他の基準として検討中、見直し中、見通しなし、方向性不確定などがあります。

 

カントリーリスク・為替リスク

 

カントリーリスクと為替リスクを気にしなければならないのは、外国債を購入する場合です。外国債を購入するときには、その国の政治・経済情勢のより価格が大きく変動してしまうことが考えられ、このことをカントリーリスクと言います。

また、満期を迎えたとき現地通貨としては儲かっていたとしても、換金時の為替レートによっては損益が出てしまうこともあるでしょう。これを為替リスクと言います。

 

債券投資のメリット

 

安全性の高さ

 

世の中には数多くの投資商品がありますが、債券投資はその中でも安全性が高いとされています。債券の価格が変動したとしても満期まで保有すれば、ほどんどの債券は額面通りの金額が戻ってきますし、保有期間中は定期的に利子が受け取れます。

発行体の信用度を気にする必要はありますが、債券投資は発行体が債務不履行に陥らない限りは、かなり安全性の高い投資方法だと言えるでしょう。

 

収益が安定しており予測することができる

 

債券投資は購入時にあらかじめ収益を予測することができます。

例えば、利率5%で5年満期の債券を10万円分購入したとしましょう。

その場合には毎年5,000円の利子を受け取ることができ、5年後には10万円がそのまま償還されます。

つまり、5,000円×5年=25,000円の利益が得られることが、最初から簡単に予測できるのです。

なかなかいませんが、仮に貯蓄が6000万円あったとしましょう。

利率5%の機関に投資をした場合、年間で300万円の収入が見込めます。

6000万円もの資金を保有することが問題ではありますが、自動的に大きな収益を得ることも夢ではないのです。

投資はどのくらいの利益が出るのか予想がつかないものが多い中、債券投資のこの特徴は私たちの資産を計画的に増やすのに役立ってくれるでしょう。

 

 

高い流動性

 

債券投資は満期まで保有していてもいいのですが、満期を迎える前に売却することも可能です。知名度や信用性の高い債券であれば流動性が高く、途中で売却し現金化することが容易となっています。これにより売却益を狙うこともできる投資方法となっています。

このことをわかりやすく具体例で考えてみましょう。

額面100円の債券を購入した場合、債券価格が105円に上昇したときに売却すれば、5円の売却益を得ることができます。

また、債券価格が95円と下落してしまった場合には、満期がくるまで保有しておけば決められた利子と額面金額100円での償還を受けることができ、損をすることはありません。

債券投資は安全性を確保しながら高い流動性を持っているために、売却益を狙うこともできる投資方法なのです。

 

おすすめの債券投資

安全性を重視するなら個人向け国債

 

債券投資に安全性を求めるのなら、個人向け国債がおすすめです。

個人向け国債は国が発行しているため、元本割れのリスクが限りなく低くなっています。また、1万円から始められ0.05%の最低金利保証があるため、私たちは安心して投資をすることができるでしょう。

個人向け国債の発行は毎月1回で、買いたいと思ったときにすぐ購入が可能です。購入場所は銀行や証券会社、農協や信金です。窓口やネットなどさまざまな方法で販売されていますが、すべての銀行で取り扱っているわけではないので購入前には確認が必要となります。

種類は、変動10・固定5・固定3の3種類。数字は満期までの年単位の期間を表しています。どれも1万円から購入可能で、利子は半年ごとに年2回受け取ることができます。

発行後1年が経過すればいつでも中途換金が可能なので、万が一急にお金が必要になったときでも安心です。「〇年後に使う予定のあるお金」を運用するのに向いている投資手法だと言えるでしょう。

 

収益も気にするなら国内社債

 

「投資をするなら収益も欲しい!」

そう考えるなら、安全性と収益性のバランスがいい国内社債がおすすめです。

個人向け国債の最低利率が0.05%なのに対し、社債なら0.1%~1.0%の利率が期待できます。その分信用リスクが高くなっており、業績悪化や倒産という危険を伴う点には注意が必要です。

国内社債を購入するためには、企業が債券を発行するタイミングを逃さないことが重要となります。債券発行が決まると証券会社の店頭やホームページなどで発表されるので、社債購入を希望するならこまめにチェックするようにしましょう。

また、新規に発行される社債だけではなく、既に販売されている既発債の購入も可能です。償還日や利回りをチェックし、購入を検討してみてください。

社債は証券会社によって大きく取扱商品が異なりますので、口座開設前にチェックしておくことがおすすめです。証券会社のホームページをよく見て、私たちの希望する社債が取り扱われているかをチェックするようにしましょう。

 

リスクは高くても収益重視なら外国債

 

「投資をするなら収益が一番大事!」

そんな収益重視の人には外国債がおすすめです。

外国債には利率が1.0%以上のものが多く、2020年8月24日から販売開始の債券で利率13.30%の債券もあり、高い収益が期待できます。ですが、その分リスクも高くなっています。

外国の情勢を読むことは難しく、もしその国が破綻してしまえば、私たちのお金は0となってしまうのです。さらに為替変動の影響も受けるため、外国債に手を出すのは債券投資に慣れてからにした方がいいでしょう。

 

まとめ

超低金利が続く現代で、私たちの大事な資産は銀行に預けていても増えてはいきません。金利がよく、定期預金を利用していればいいという常識は既に過去のものです。ですが、資産運用に慣れていない私たちは、どのような投資手法を選べばいいのか悩んでしまいます。

債券投資は低リスクで初心者にメリットがたくさんで、資産運用に悩む人におすすめの投資方法です。「安全に投資をしたい」と考える人は、ぜひ検討してみてください。

まず、債券投資の優れたメリットは、元本割れの可能性が限りなく低いということです。満期まで保有しておけば、額面金額が満額戻ってくるため、損失を出すということがありません。投資を考える人に共通している気持ちとは「損をしたくない」というものです。こういった気持ちを持つ人にとって、債券投資は最適な投資方法だと言えるでしょう。

しかし、物事にはメリットがあればデメリットもあります。債券投資にもリスクはあり、それを理解せずに債券投資に手を出すのは危険です。債券投資は発行体によって、リスクの大きさが変わってきます。低リスクであれば収益も低く、高リスクであれば収益も高くなります。

自分の求めるものは、安全性なのか収益なのかをしっかりと判断し、どの債券投資を選ぶかを決めなければならないでしょう。債券投資のリスクとメリットを正しく理解し、私たちの大事な資産を増やしていきましょう。

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