投資の第一歩として「投資信託をやってみたい」と考える人は、とても多いのではないでしょうか。
なぜなら、投資信託は初心者におすすめの投資方法だとされています。実際、投資信託はそれほど知識がなくても、資産運用することができる金融商品です。
この記事では、入門編と題して投資信託についてわかりやすく解説していきます。
「よくわからない」という初心者にこそ、投資信託は適した商品だったのです。投資信託への疑問をすべて解決し、安心して投資信託ができるようになっていきましょう。投資信託とは何ぞやという基本から、投資信託の仕組み、メリット・デメリット、初心者にオススメの投資信託についてご紹介していきます。
【 目次 】
初心者の疑問を解決!投資信託っていったい何?
プロが代わりに運用!投資信託は初心者におすすめの金融商品
投資信託とは何かを簡潔に言うと、私たち投資家から集めたお金をプロが代わりに運用して還元してくれるという金融商品です。
その名の通り『信じて託す』投資法で、何もわからない素人の私たちでも簡単に始められる投資として人気となっています。
私たちのような個人の投資家が出せるお金は、ごくわずかなもの。ですが、そのお金も集まれば大きなものとなるでしょう。皆から集めたお金をプロが、株や債券・不動産などさまざまな商品に分散して投資してくれるので投資信託はリスクの低い金融商品なのです。
もっとわかりやすく言えば、投資信託は福袋のようなものです。株式や債券が詰め合わせられて売っているようなものだとイメージすると、わかりやすいのではないでしょうか。正月のデパートを思い出してみてください。食品から服、宝飾品までさまざまな福袋が売られている光景が目に浮かぶでしょう。
投資信託も同じです。日本企業の株だけの詰め合わせや、債券だけが入ったもの、株式と債券が組み合わされたものなど種類はいろいろです。どんな商品を選ぶかによって、リスクやリターンの高さが変わってきます。
わかりやすく解説!投資信託の仕組み
投資信託に関わる機関は3つあります。
まず1つ目の機関は販売会社です。投資信託の購入を考える私たちが直接接するのは、3つのうち販売会社だけとなります。販売会社は投資信託の募集・販売を行い、投資家から資金を集める役割を担っています。
続いて2つ目の機関は、委託会社です。委託会社は販売会社が得た資金をもとに運用計画を立て、次の機関へ運用の指示を出します。その指示通りに運用を行うのが3つ目の機関である受託会社です。実際に投資を行い資金を管理しています。こうして運用して得られた利益は、最終的に販売会社を通じて投資家へと還元されていきます。
このように、『資金集めをする会社』と『運用計画を立てる会社』と『実際に運用を行う会社』とに分かれて資金を運用するのが投資信託の仕組みなのです。
投資信託のメリットデメリット
投資信託のメリット
メリット1:少額での投資が可能
まず投資信託の1つ目のメリットは、少額から投資が行えるということ。
投資信託は100円からでも購入可能で、これは私たち初心者にとって大きなメリットだと言えますね。
私たちが個人で投資をしようと考えた場合、100円しかなければ株の購入は難しいでしょう。ですが、投資信託ならそれが可能となります。また、「最初は不安だから少額から投資を始めたい」という初心者ならではの考えにもぴったりです。これは投資信託がたくさんの投資家からお金を集めて運用を行う商品だからできることです。
メリット2:分散投資を可能にしリスクを減らせる
続いて投資信託の2つ目のメリットは、分散投資ができるということです。
分散投資は投資の基本とされており、大きく損失が出るのを防いでくれます。1つの銘柄だけに集中して投資してしまうと、それが大きく値下がりしたときには、その影響をもろに受けてしまいます。
投資信託はさまざまな金融商品が詰め合わせになった福袋のようなものですから、1つに集中し過ぎるということがありません。プロの選んださまざまな投資先に分散して投資ができるため、1つがダメでも他のもので補うことができるのです。
このメリットを知っておけば「投資は元本割れすることもあり不安」という私たち初心者の不安を、少しでも軽くすることができるでしょう。投資信託はリスクの低い商品だと言えます。
メリット3:個人では投資しづらい商品への投資が可能
最後に3つ目のメリットとして挙げられるのが、個人では投資しづらい商品への投資が可能ということです。
投資信託はさまざまな種類の商品があり、私たちは店頭やネットで商品を選ぶだけで簡単に購入することができます。その中には、発展途上国の債券や株式が投資対象となっているものも。これらの商品は個人では投資を行いづらいものです。
こうした個人では難しい投資が行えるのも、投資信託の特徴です。
これらのメリットを知っておけば、投資信託への不安は消えていくでしょう。しかし、どんなものにもメリットがあればデメリットもあるものです。続いての章では投資信託のデメリットについてご紹介していきます。
投資信託のデメリット
デメリット1:手数料がかかる場面が多い
投資信託の最大のデメリットは、手数料がかかるという点です。
投資信託はプロに代わりに運用を行ってもらうわけですから、そこに手数料が発生します。預けておくだけの預貯金であれば、手数料が発生することはありません。たかが手数料と侮らないでください。投資信託をするなら、この手数料を無視することはできないのです。
手数料①購入手数料
投資信託の手数料には、3種類あります。
投資信託の仕組みの章で述べた通り、関係する機関が多いためかかる手数料の種類も多くなってしまうのです。
まず最初にかかる手数料が購入手数料です。これは投資信託を購入するときに販売会社に支払うもので、購入金額の1~3%ほどかかるのが一般的でしょう。
例えば10,000円の投資信託を購入したい場合には、購入手数料が2%だとすると手数料は200円となります。これは投資額とは別にかかりますから、10,000円の投資を行う場合には10,200円のお金が必要ということです。200円と聞くと問題ないように感じてしまうかもしれませんが、塵も積もれば山となります。特に、少額投資をする場合には、手数料は重くのしかかってしまうでしょう。
この購入手数料は1~3%と幅を持たせていることからもわかる通り、販売会社によって異なります。また、ネット証券を中心に購入手数料が無料の投資信託も販売されています。少しでも安い手数料を選ぶようにすれば、私たちの負担は減っていきますよ。
手数料②信託報酬(運用管理費用)
次にかかるのが投資信託を持っていることに対する手数料です。信託報酬や運用管理費用と呼ばれるもので、販売会社・委託会社・受託会社の3社に分割して支払われます。これは投資信託を持っている間ずっとかかる手数料のことです。
およそ年間で0.5%~2%かかるのが一般的で、運用が成功しようと失敗しようと関係なくかかります。もし、先ほどと同じように10,000円の投資信託を購入し、信託報酬が1%だった場合の信託報酬は100円です。1年間運用して100円以上の利益が出ていればいいですが、そうでないときには資産はマイナスになってしまいます。
信託報酬は投資信託を持っている限りかかってしまう手数料ですから、少しでも安く抑える必要があります。投資信託を選ぶ際には信託報酬の割合のチェックも忘れないでくださいね。信託報酬の手数料が低い商品を選ぶことが投資信託を成功させるためのコツとなるでしょう。
手数料③信託財産留保額
最後に投資信託は途中で解約するときにも信託財産留保額という手数料がかかります。
それもそのはず。皆から集めたお金で運用しているのに、途中で抜けたいという人がいればその人の分を売らなければならなくなってしまいます。これは手間がかかることで、プロの運用計画を無視した行動です。だから、その分のマイナスは解約をしようとした人に負担してもらおうという考えです。
信託財産留保額は解約しようとした時点の基準価格に対して0.5%ほどであることが多く、これはどこかの機関に支払われるというようなものではありません。そのまま投資信託に財産として残され、運用されていくことになります。本来私たちが解約しなければ残っていたお金を補填するという意味合いの強い手数料なのです。
そして、最近では信託財産留保額がない商品も多いのですが、これが得かというと自信を持って「YES!」と言うことはできません。それは、信託財産留保額をなしとしている理由にあります。最近は投資人口が増え初心者もたくさん投資信託をするようになりました。そういった背景もあり、信託財産留保額の仕組みを理解できない人が増えていて、手数料なしとした方が単純に売れるからなのです。
どちらにせよ途中で解約しなければ発生することはない手数料なので、気が変わって途中解約ということにならないように最初によく考えるようにしましょう。そうすれば、信託財産留保額で悩むことはありません。
デメリット2:元本保証がない
投資信託のもう1つのデメリットが元本保証がないという点です。
銀行でも売られており預貯金のような感覚で利用できる投資信託ですが、運用がうまくいかなかったときには元本割れの可能性があります。プロに任せられるとはいっても、プロも失敗するときはあります。必ずしも資産を増やせることが約束されているわけではないのです。
初心者におすすめの投資信託
投資信託の種類
投資信託にはたくさんの商品があり、常時6,000本ほどの商品が販売されています。これだけの商品があると「どれを買ったらいいの?」と初心者ほど悩んでしまいますよね。
たくさんの投資信託の中から初心者におすすめの投資信託を知る前に、まずは投資信託の種類について知っておきましょう。
投資信託を分類する方法にはさまざまなものがありますが、運用方法で見た場合には2種類のものがあります。それは『インデックス運用型』と『アクティブ運用型』の2種類です。
インデックス運用型は、TOPIX(東証株価指数)や日経平均株価のような代表的な指数と同じ値動きを目指して運用する投資信託のことです。指数の変動程度の利回りを目指しており、連動して自動で運用できるため、信託報酬は安めとなっています。
TOPIX(東証株価指数)とは:東証株価指数(Tokyo Stock Price Index)の略称で、東証一部に上場している全銘柄(2020年1月21日現在、2,159社)の合計時価総額を対象にした株価指数のこと。日本の主要な指標の1つで、株式市場の総合的な動向を読み取ることができる。
日経平均株価とは:日本経済新聞社が東証一部の中から日本を代表する225銘柄を独自に選んで平均をとった株価のこと。経済報道でも必ずと言っていいほど使われる有名な指標。
一方、アクティブ運用型は、積極的を意味するアクティブがついていることからもわかる通り、指数の変動以上の利回りを目指した投資信託です。
インデックス運用型とは異なり、銘柄を厳選して選定する必要があるため、特定した銘柄の上昇が多ければ利益は膨らみ、下落が多ければもちろん損失が膨らむみます。インデックス運用型より値動きの幅を大きくした手法のため、もちろん投資信託の範囲(運用をお願いする立場)ではありますが「利益が出せそうだ!」と強く思えた特定の商品がある場合に有効です。手数料はインデックス運用型よりも高くなっていますが、高いリターンが期待できます。
初心者にはインデックス運用型がおすすめ
運用方法によって2種類の商品がある投資信託ですが、初心者におすすめなのはインデックス運用型です。
「手数料は高くても高いリターンが期待できるなら、アクティブ運用型を選びたい!」と思う人も多いでしょう。しかし、過去のデータを見てみると、長期的に指数を上回る利回りを得られているアクティブ運用型の投資信託はごくわずかしかありません。
まだ、初心者の私たちはインデックス運用型を選んだ方が、安定して利益を得られる可能性が高いというわけなのです。
初心者は分散投資するタイプの商品を選ぼう
投資の格言にこんな言葉があります。
『卵は1つのカゴに盛るな』
1つのカゴに盛った卵はカゴがひっくり返ればすべて割れてしまいます。すべての卵が割れるのを防ぐためには、卵は別の場所に分けて置いておくべきなのです。
投資も同じでどんな大企業でも何があるかわかりません。昨今だと話題のコロナウイルス、それが起きる前、誰がここまでの世の中の変化を想像できたでしょうか。
株式投資で言えば、ANAやJALといった空輸関連株が大きく下落し以前の株価水準にまで回復していません。店舗型のアパレルや飲食を運営する企業の株価も下落トレンドとなっています。逆にテレワーク関連株やテレワークに対するサイバー攻撃を抑制するソフトウェア会社、宅配を扱う物流会社、ECサイトが予想以上の収益を上げ株価が高騰しています。
不動産投資で言えば、コロナウイルスにより人の移動が制限され、不動産の販売価格が低迷することに伴い下落しました。またテレワークの推進として都心部から地方での働き方が見直され、都心部の地価の下落、地方都市の地価の上昇期待が見込まれています。
このように、世の中のマーケットの変化に対して対応できるリスク管理をするべく、分散して投資することこそが投資を成功させるコツであり、初心者はこの基本に忠実に投資を行うようにしましょう。
しかし、ただ複数の投資信託を購入しただけでは、分散投資ができているとは言えません。大切なのは、投資先を分けるということ。複数を買っているつもりでも、それらがすべて株式だけなのでは意味がないのです。
投資信託は投資の中身がしっかりと示されています。その内容を確認し投資先を株式や債券、リートに分けていきましょう。分散投資ができれば、私たちの投資信託が失敗してしまう可能性を減らすことができるでしょう。
まとめ
投資信託は、私たちの代わりにプロが運用を行ってくれる初心者におすすめの資産運用方法です。「経済についてよく知らない」という人でも、運用を行うのはプロなので安心して行うことができるでしょう。100円という少額から投資ができ、気軽に始められます。
投資信託のメリットはプロの手が借りられ、分散投資ができ、個人では投資しづらいものへも投資できるという点です。デメリットはコストがかかる点です。プロの手を借りているので多少のコストは仕方ありませんが、少しでも安いところを選ぶようにしていきましょう。
実際に自分のお金が世の中の影響を受けて損益が出たり損失がでると、貯蓄をしてほぼ値動きがなかった時に比べ意識がとても変わります。
「世の中がどうなっているから、投資先はこうした方がいい」や、自分の人生においても「こんな選択肢もある」など、これまで触れていなかった外部の世界に興味を持ち、学ぶことにより自己成長までさせてくれます。
投資により直接的に運用益を狙うというのもいいですが、それとは別に自分の考え方、人生観まで育ててくれるキッカケになることは間接的な良い点だと思います。
投資信託は怖いものではありません。まずは初心者向けの投資である投資信託で安心して資産運用を始めていきましょう。