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固定資産税の調べ方~評価額を自分でも簡単に算出する方法

「家がほしい!」

そんなときに避けては通れないのが固定資産税です。

土地や家そのものの値段のことは頭にあっても、住宅取得後も毎年支払う固定資産税のことは抜け落ちているなんて人も多いのではないでしょうか。

家を買うときにはその家を買えるかも重要ですが、毎年の固定資産税を払っていけるかも考えるようにしましょう。

「でも、固定資産税ってどうやったらわかるの?」

という人のために、この記事では固定資産税の調べ方について解説していきます。

固定資産税の評価額は、実は自分でも簡単に算出できるものなのです。固定資産税について正しく理解し、住宅の購入計画を進めていきましょう!

 

固定資産税はどう決まる?

 

固定資産税は固定資産税評価額によって決まる

 

固定資産税土地や家屋に対して課税される税金で、毎年1月1日に所有権を登記している人が支払うことになります。

つまり、家を買ったり建てたりしたら、その家を売らない限りはずっと払い続けることになる税金です。

なんとなく立派な家は固定資産税も高いという程度の知識はあっても、固定資産税がどう決まっているのかを知っている人は少ないのではないでしょうか。

固定資産税は次の計算式によって決められています。

固定資産税評価額×1.4%

ただし、計算式だけを見せられてもピンとしないかもしれませんので具体例を出して理解を深めていきましょう。

えば、土地の評価額が1,000万円、家屋の評価額が2,000万円だった場合、この2つを足した3,000万円に税率1.4%をかけた42万円が固定資産税ということになります。なお、軽減特例がある場合にはこれよりも減額されます。

計算式と具体例を見ると固定資産税を決めているのは、その評価額だということがわかりますね。

固定資産税評価額は固定資産税以外にも、都市計画税、不動産取得税、登記免許税など土地や家に関わる税の計算で使われています。さまざまな税金の計算のもととなっている固定資産税評価額とはどんなものなのでしょうか。固定資産税評価額がわかれば、ほかの税金の額についても見えてくると言えるでしょう。

 

固定資産税評価額は誰が決めるの?

 

固定資産税評価額は、固定資産税を決める基準となる重要なものです。では、いったい誰がどのようにして決めているのでしょうか。

固定資産税評価額を決めているのは、各自治体です。

各市町村(東京23区においては各区)が土地や家屋などをどう評価するかを定めた『固定資産評価基準』に基づいて、個別で決めたものが固定資産税評価額で3年ごとに見直されています。

固定資産税評価額を決めるときには、各自治体の担当者が実際に家屋や土地を見て確認して決定しています。だいたいの目安として土地なら時価の70%、新築建物なら請負工事費の50~60%が評価額の目安となります。しかし、これは目安でしかありません。固定資産評価基準には、土地がどのような場所にあるのかといったことや家の構造といった細かな項目もあり、それによって固定資産税評価額は変わってきます。

 

土地

土地は、正常売買価格を基準に評価が行われます。

住宅用地の評価方法は、市街地宅地評価法(路線価方式)、その他の宅地評価法(標準地批准方式)があります。市街地宅地評価法は道路に面した標準的な宅地の1㎡あたりの評価額である路線価を基準にして、土地の奥行や間口や形状によって補正を行う方法です。その他の宅地評価法では、周辺状況が類似している状況類似地区ごとに標準的な宅地を選定して補正を行います。

 

家屋

建物は、評価時点での新築した場合にかかる建築費、再建築費による評価が行われます。

建物の評価方法は、部分別の再建築費評点数をもとに建物の再建築費評点数を算出し、評点一点あたりの価額を乗じて、損耗などによる補正を行うというものです。

木造家屋の場合には11区分の評価対象があり、その区分は以下の通りとなっています

  1. 屋根
  2. 基礎
  3. 外壁
  4. 柱・壁体
  5. 内壁
  6. 天井
  7. 建具
  8. 建築設備
  9. 仮設工事
  10. その他工事

こんなにもたくさんの評価対象があるため、自分できっちりと出すということは難しいでしょう。

 

うちの固定資産税評価額はいくらなの?

 

既に家を持っている場合

 

課税明細書

既に家を持っている人が固定資産税評価額を知りたい場合には、簡単に知ることができます。

家を持っているということは、毎年固定資産税を払っているはずですね。そのときに納税通知書とともに送られてくる課税明細書を見てみましょう。そこには土地や家屋の固定資産税評価額が書かれています。

課税証明書にはさまざまな数字が書かれていますが、固定資産税評価額は「価格」の欄に書かれている数字です。価格の右隣の項目を見ると「固定資産税課税標準額」とあり、この数字は評価額と混同しやすいので注意してください。

家屋の場合は固定資産税評価額と課税標準額は同じなのですが、土地の場合が要注意。住宅用地に対する特例措置などで調整があるため、課税標準額は固定資産税評価額よりも安くなります。

たとえば、住宅用地にかかる固定資産税は、特例によって200㎡までの部分は小規模住宅用地として1/6、200㎡超える部分は床面積の10倍までは一般住宅用地として1/3に減額されます。

既に家を持っている私たちは、課税明細書の見る場所さえ間違わなければ、固定資産税評価額を簡単に知ることができるのです。課税明細書の価格の欄に記載の数字を確認しましょう。

 

固定資産税評価証明書

市区町村の役場で取得できる固定資産税評価証明書は、固定資産課税台帳に登録された土地や建物の固定資産評価額を証明する書類のことです。

これを取得することでも、固定資産税評価額を知ることができるでしょう。この証明書が取得できるのは本人と同居の家族、相続人、委任状を持つ代理人、民事訴訟などの申立人、法人に限られています。

 

 

固定資産課税台帳

固定資産課税台帳は市区町村の役場で閲覧できるもので、土地課税台帳、家屋課税台帳、土地補充課税台帳、家屋補充課税台帳、償却資産課税台帳の総称です。固定資産税評価額も記載されており、気になる場合には閲覧してみましょう。

固定資産課税台帳を閲覧できるのは納税義務者、同居の家族、借地人、借家人、1月1日の基準日の翌日以降に所有した人、管理人、破産管財人などや、委任状を持つ代理人に限られています。

 

これから家を買う場合

 

新築住宅

これから家を買うという場合にも固定資産税評価額は気になるものでしょう。

新築住宅の購入を検討しているという場合には、購入を考える住宅のモデルハウスやモデルルームで質問すれば教えてもらうことができます。ただし、この段階で教えてもらえる固定資産税評価額は、あくまで目安にしかなならないことを覚えておきましょう。

新築住宅の場合はマンションでも戸建てでも、初めての固定資産税は軽減措置が受けられます。土地面積が200㎡以下であれば土地の評価額は6分の1、家屋の評価額は2分の1になります。

 

中古住宅

中古住宅を購入する場合には、もうすでにその建物や土地は評価をされています。だから、不動産屋で尋ねればはっきりとした額を知ることができるはずです。

また、中古住宅では家屋部分の軽減措置は受けられませんが、土地に対しての税金は軽減されます。200㎡以下であれば評価額は6分の1となりますので覚えておきましょう。

 

固定資産税評価額の注意点

 

マンションと戸建てではマンションの方が評価額は高い傾向にある

 

マンションと戸建てのどちらを購入しようかと悩みを抱える人もいるでしょう。

固定資産税評価額の面で見た場合には、マンションと戸建てではマンションの方が評価額が高い傾向にあります。もちろん、必ずマンションの方が高いわけではありませんが、多くの場合にはマンションの方が固定資産税評価額は高くなるでしょう。

それは、固定資産税が土地よりも建物の方に多くかかることが要因です。

マンションの購入価格は建物の占める割合が多くなっています。土地の分の価格は敷地面積を住戸数で割ったものになり、同じ土地に多くの人が住むマンションは、戸建てと比べると土地代がそれほどかかっていません。だから、同じ購入価格で同じエリアにあるマンションと戸建てを比べたときには、マンションの方が固定資産税評価額は高くなるのです。

 

土地の価格は4種類

 

実は、土地には固定資産税評価額を含め4種類の価格があります。これら4つはまぎらわしいので、固定資産税に関係あるのは固定資産税評価額だということを、しっかりと覚えておきましょう。

4種類の土地の価格は以下の通りです。

時価(実勢価格) その土地が実際に取引された価格
または、周辺の取引から推定される価格
公示価格 国土交通省が公示する標準地の価格
全国の都市計画区域内の標準地を1地点について2名以上の不動産鑑定士が調査を行い、取引事情や収益性も踏まえて評価
相続税評価額(路線価) 相続税や贈与税の課税基準となる価格
国税庁が定め、相続税や贈与税、地価税の算出に用いられる
固定資産税評価額 固定資産税、都市計画税、不動産取得税、登録免許税などの基準となる価格。

 

同じ床面積でも構造や建材によって評価額は変わる

 

床面積が同じなら固定資産税評価額は同じというわけではありません。簡単に言ってしまえば、建てるコストが高い住宅ほど固定資産税評価額も高くなります。木造の家よりも鉄筋コンクリート造の家の方がコストがかかりますので、固定資産税評価額も高くなるというわけですね。

同じ床面積、同じ構造であっても、設備や建材によって固定資産税は変わってきます。キッチン・バス・トイレの品質や数が固定資産税評価額に影響を与えますので、そのことは頭に入れておいてください。高いグレードの住宅設備をいれたければ、その分固定資産税評価額もあがってくることになるのです。

 

高過ぎると感じるなら固定資産縦覧帳簿(台帳)で確認しよう

 

「うちの固定資産税高過ぎない?」
「みんなはどれくらい固定資産税払ってるんだろう?」

固定資産税を支払うとき、こんな疑問が湧いてくることもあるのではないでしょうか。安心してください、そんな疑問を解消する制度が設けられています。

毎年4月1日から固定資産税の最初の納付期限までの間、固定資産税の納税者が他の納税者の土地や家屋の固定資産税評価額を確認することができます。これは縦覧制度と呼ばれており、固定資産縦覧帳簿(台帳)で確認することが可能です。この制度によって私たちは、自分の固定資産税評価額が適性かどうかを知ることができます。

同じエリアの土地や家屋と比べて、自分の家の固定資産税評価額が高過ぎるという場合にには審査を申し出ることができます。

不服審査を申し出ることができるのは、納税通知書の交付を受けた日の60日後までとなっているので注意してください。固定資産税評価額が高過ぎると感じる場合には、他の人の評価額をチェックし比べてみましょう。

 

減税対策をしよう

 

固定資産税は毎年納めなければならないものですから、少しでも安い方がいいものです。固定資産税には減税政策がありますから、適用できるものを知っておきましょう。

まず、土地に対する特例制度は小規模住宅用地の特例と一般住宅用地の特例があります。マンションなら小規模住宅用地、戸建てなら一般住宅用地の特例が受けられると考えていいでしょう。200㎡以下の土地に対する評価額は6分の1となり、200㎡を超えた分に関しては3分の1となります。

家屋に対する軽減特例は新築住宅のみに適用となりますが、令和2年3月31日までに建てられた家屋は評価額が2分の1となります。その上、軽減特例となる期間は戸建てで3年、マンションは5年と適用期間が異なるので注意が必要です。また、床面積120㎡を超える部分に関しては、通常の税率となります。

中古住宅を購入する場合でも、リフォームや省エネ対策をすることで減税対策となります。バリアフリー改修を行うと翌年の評価額は3分の1に、耐震改修を行うと翌年の評価額は2分の1になります。また、耐震改修を行う際、重要避難路沿いにある建物という要件を満たしていると軽減の期間が2年となります。

リフォームでの評価額の軽減特例を受けるためには、税務署への申請が必要となりますので注意が必要です。工事完了から3か月以内に税務署に申告するのを忘れないようにしましょう。

 

まとめ

 

固定資産税評価額はさまざまな要素によって決まるもの。だから、自分で算出することは難しいでしょう。しかし、だからといってまったく考慮せずに住宅を購入してしまえば、購入後の家計に影響を与えてしまいます。毎年、支払うことになる固定資産税は、無視できない金額です。

おおよその目安をつけられるようになり、住宅の価格ばかりにとらわれずに、入居後の固定資産税のことも考えて住宅取得をしていきましょう。

家は人生の中でもっとも大きな買い物です。しっかりと固定資産税のことまで考えて、素敵な住処を手に入れてくださいね。

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