債券のしくみは、実はとても簡単でわかりやすいものです。そのわかりやすさから、債券投資は初心者におすすめされることも多いのです。
あなたも債券投資が初心者向けだと知って、もっと知りたいと思いこのページにたどり着いたのではないでしょうか?
この記事では、債券とは何かをわかりやすく解説し、実際に債券投資を行った場合の実例までご紹介していきます。
債券投資はちっとも難しくありません。債券投資についての知識を深め、債券投資に一歩を踏み出していきましょう!
【 目次 】
債券とは?わかりやすい基礎知識
債券の種類
債という言葉を辞書で引くと、『返さなければならない金品。借金。』と出てきます。
そう、債券とは簡単に言ってしまうと借金のことなのです。
企業や国が資金調達のために発行するもので、株と似たようなものだと言えるでしょう。
私たちは債券を買うことで企業や国にお金を貸し、企業や国は私たちのお金を使って事業を行うのです。
債券と株との違いは、利率と満期日が決められているという点です。
債券を持っている間は定期的に利子が支払われ、満期日を迎えるとお金が返ってきます。
そして、債券にはさまざまな種類があります。
続いては、その代表的な分類方法について見ていきましょう。きっと買いたい債券も見つかりますよ。
発行主体別
債券を『どこが発行しているのか』という発行主体別で分けた分類方法はわかりやすくメジャーなものです。
発行主体別でわけると債券は、次の5つの種類に分類できます。()内が発行元です。
- 国債(国)
- 地方債(地方自治体)
- 政府保証債(政府機関)
- 社債(企業)
- 金融債(銀行)
利払い方式別
続いての分類は、利払い方式別です。
- 利付債
- 割引債(クーポン債)
- ディスカウント債
1の利付債は額面金額で発行され、定期的に利子が払われるタイプの債券を指します。
2の割引債は、額面金額よりも安い金額で発行される代わりに利子の支払いがありません。言わば、発行価格と額面金額との差が、利付債でいう利息に該当します。
3のディスカウント債は額面金額より安く発行され、さらに利子が支払われます。
発行金額 | 利子 | |
利付債 | 額面金額 | 有 |
割引債 | 額面金額より安い | 無 |
ディスカウント債 | 額面金額より安い | 有 |
債券のしくみ
債券で利益を得るには2つのしくみがあります。
まず1つ目は利子によるリターンです。
債券にはあらかじめ利率が示されています。
例えば利率が3%だった場合には、私たちは満期を迎えるまで、年3%の利子を受け取ることができるのです。
10,000円の債券を買ったとすると、1年で300円の利子が得られ満期までには1,500円を受け取ることになります。そして、満期には10,000円も返ってきますから、私たちの10,000円は債券購入によって11,500円になるというわけなのです。
また、債券は価格変動によって利益を得ることもできます。
債券は満期まで保有していれば額面金額が保証されていますが、実は価格変動するものです。なので、安く買って高く売れば利益を得ることが可能なのです。
債券の価格は金利と密接に関係しています。
金利上昇局面では債券よりも預金が人気となるため価格は下落、金利が下がると預金よりも債券が人気となり価格は上昇します。
金利が上がることで、お金の貸し手側は債券よりも良い利回りの投資対象に目が行きます。そのとき債券価格は下落することで、投資対象としての価値を高めていきたいわけです。
こうして債券価格は変動していきますので、価格が上昇したタイミングで売れば、購入価格との差額分の利益を得ることができるでしょう。
金利 | 債券価格 |
下降 | 上昇 |
上昇 | 下降 |
債券のリスク
まず、考えられるのは信用リスクです。
債券の発行主体である国や企業が、財政難や倒産などということになってしまった場合、債券はただの紙となってしまうこともあります。
これによって、利子や償還が受けられなくなってしまうという可能性もあるのです。
この信用リスクへの対策として、債券には格付があります。
債券の格付とは格付機関が、債券の信用度を評価しランク付けしたものです。
たとえば代表的な格付機関であるS&Pによれば、日本の格付はA+です。
格付がBBB-以上であれば投資適格債、BB+以下は投資不適格債とされているので、日本国債は安心して投資できると言えそうですね。
自分の買いたい債券が見つかった場合には、格付をチェックしておく必要があるでしょう。
次に債券には価格変動リスクもあります。
これは満期以前に債券を売らなければ関係のない話ではありますが、念のため頭には入れておきましょう。
実際に2009年にギリシャが財政危機となったときには、債券の価格は大幅に下落しました。
こんなときに債券を売らなければならない事態になれば、私たちは損をしてしまいます。
ですが、これは逆に考えれば価格上昇する上振れのリスクもあるということですね。
また、外国の債券を購入しようとするときには為替変動リスクもあります。
外貨建てで債券を購入したさい、外貨ベースで考えれば利益は出るでしょう。
しかし、私たちは外貨を日本円にしなければなりません。
そのときに大きく為替変動の影響を受けることとなります。
円安になっていれば利益は減り、円高になっていれば利益は増すでしょう。
債券投資のメリット
安全性の高さ
債券投資のメリットは、安全性の高さにあります。
それは債券と株を比較してみるとわかるでしょう。
価格変動 | 利率 | 元本 | |
債券 | 有 | あらかじめ決められている | 満期まで持っていれば保証される |
株 | 有 | 業績によって出ることもある | 保証はされていない |
債券と株はどちらも資金調達のための手段で、とてもよく似ています。
ですが、比べてみると債券の安全性の高さがわかりますね。
どちらも価格変動しますが、債券は満期まで保有していれば基本的には元本が保証されています。また、利率もあらかじめ決められたものが定期的に与えられます。
一方、株は企業の業績によっては配当金という形で利子のようなものがありますが、どの株でも配当金は得られるわけではありません。また、業績によって出ないこともあるので不確実なものです。そして、売却時の価格は購入金を下回ることもあり損をすることもあります。
このように比べてみると、債券は定期的に利子を受け取れて、満期まで持っていれば額面金額がそのまま戻ってくるという点で安全性が高いことがわかります。投資で損をしたくないと考える人にもおすすめできる投資法だと言えるでしょう。
流動性の高さ
債券投資の2つ目のメリットは流動性の高さです。
満期日よりも前に売りたいと思った場合、買い手がいなければその商品を売ることはできません。債券にもよりますが、知名度や信用度が高い債券は流動性が高く、満期前の売買によって利益を得ることも簡単です。
収益の予測が簡単
一般的に投資というのは不確実なものが多く、どれだけ利益を得られるのか、または損失が出るのかの見通しが立てられません。
しかし、債券投資ならば収益の予測が簡単で、私たちは資産計画が立てやすいでしょう。債券の発行元が債務不履行にでもならない限り、利子と償還は高確率で行われます。
債券投資の実例
債券の種類 | 10万円購入し1年で受け取れる利息(税引き前) |
個人向け国債・固定5年 | 50円 |
社債・三菱東京UFJ 銀行普通社債 | 631円 |
米ドル建債券・フォードモーターカンパニー | 7450円(円換算) |
個人向け国債「固定5年」
続いては債券投資をした場合の実例について見ていきましょう。実例を見れば債券投資のことがより身近に感じられるはずです。
まずご紹介するのは、令和2年12月15日に発行の個人向け国債「固定5年」第116債を10万円購入したときの例です。
固定5年はその名の通り、5年満期で利子は半年に1度受け取ることができます。適用金利は0.05%となっています。
10万円分の国債を購入した場合、受け取れる利子は1年で50円、5年間の合計で250円。償還日には額面金額の10万円が戻ってくるので、3年間での利益は税引き前で250円です。
少なく感じられるかもしれませんが、銀行に預けておくよりはお得で、国が発行しているので安全性は抜群なのが国債のいいところでしょう。また、1万円から購入可能なのも個人向け国債の特徴です。
社債「三菱東京UFJ銀行普通社債」
2014年の7月に発行された三菱東京UFJ銀行普通社債は10年満期で0.631%の金利の商品です。
これを10万円購入し満期まで持っていた場合の利益は、税引き前で6310円です。国債よりも利率が高く、利益も多いのがわかりますね。
社債は10万円からの購入である程度まとまった金額が必要です。また、信用度では国に劣るため、その分利率を上げて購入してもらおうとしています。
米ドル建債券「フォード・モーター・カンパニー」
2031年満期7月16日満期の米ドル建債券のフォードモーターカンパニー7.450%を1万ドル購入した場合、1年で受け取れる利息は745ドルです。
ドル換算だとわかりにくいので、すべて1ドル104円のレートで考えてみましょう。
1万ドル購入するのに必要なお金 | ①1,040,000円 |
1年で受け取れる利子 | 77,480円 |
満期までに受け取る利子の合計 | ②852,280円 |
利子と償還金の合計 | ①+②1,892,280円 |
外国の債券の中には利率が高く、たくさんの利益が期待できるものもあります。
ですが、フォードモーターカンパニー債を見てもわかる通り、債券の満期日が来るのは10年以上後ですし、そのときのレートがどうなっているかはわかりません。現地通貨では儲けが出ていても、日本円にしたときにはどうなるかは満期日を迎えるまでは不確実でしょう。
また、最低購入金額も1万ドルからと高いので、まとまったお金がなくては始めることができません。
まとめ
私たちは債券を購入することで、企業や国に資金を貸しているのです。貸したものは返してもらえるのが世の常識。債券も当然、決められた期間がくれば返してもらえます。
しかも、貸している間は利子を受け取ることができるという嬉しいポイントも。
債券の発行元が財政難になった場合や倒産・デフォルトがあった場合には、債券はどうなるかわからないでしょう。
しかし、発行元の信用度を格付などでチェックしておけば、そういったリスクは避けられます。
債券には多少のリスクはあるものの、基本的には元本割れせず利子も得られる安全性の高い投資法です。
私たちのような初心者にもおすすめの投資法で、収益の計算もしやすいことからまず最初に始める投資法として選ばれています。
「国や企業を応援する」という軽い気持ちで、債券投資を始めてみましょう!